スパコン「富岳」3月9日から本格稼働へ 21年度予定を前倒し 理研

2021/02/09 18:40

3月9日からの本格稼働が決まったスーパーコンピューター「富岳」=神戸市中央区港島南町7、理化学研究所計算科学研究センター

 理化学研究所は9日、神戸・ポートアイランド(神戸市中央区)のスーパーコンピューター「富岳」について、予定を前倒しして来月9日から本格運用すると発表した。当初の計画では2021年度中だったが、新型コロナウイルス対策の研究推進や、コロナ禍を受けた研究手法の変化に対応するため早めたという。 関連ニュース スパコン富岳 計算速度など主要4部門で再び世界一 「世界2番でも全然かまわない」スパコン後継機「富岳」は巨大なスマホ 元世界一のスパコン 移設、再利用が「非現実的」な理由

 富岳は19年に運用を終えたスパコン「京」の後継機で、14年度から理研と富士通が共同開発を進め、国費約1100億円が投じられている。スパコンの性能ランキングでは、20年の6月と11月の2期連続で、主要4部門で世界一となった。
 昨年4月からは一部機能を利用し、治療薬候補の選定や飛沫予測などで、新型コロナ対策の研究が進められていた。本格化前倒しの背景には、コロナ対策に早期に貢献できたことから今後、研究需要がより高まることが予測されることもあるという。このほか研究のデジタル化を通じ、人と人との接触を減らすことへの貢献も期待できるとする。
 昨年の公募では、国内外の大学や研究機関、企業による110件の課題を採択。災害時のシミュレーションや分子の研究などの内容で、10月以降に試行的な利用が始まっている。
 来月の本格稼働に向け、兵庫県の井戸敏三知事は「世界最先端の科学技術基盤が集積する兵庫・神戸のシンボルとして、基礎科学の発展と産業競争力強化に大きく貢献することを願う」とコメント。神戸市の久元喜造市長は「感染症への対応やわが国の科学技術の発展、産業競争力の強化につながる画期的な革新を、神戸から創出することを期待する」とした。(井川朋宏、初鹿野俊)

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ