井戸知事、再拡大恐れつつ「宣言解除」要請を決断 新型コロナ

2021/02/24 06:30

緊急事態宣言の解除を国に要請した後、取材に応じる兵庫県の井戸敏三知事=23日午後、兵庫県庁

 兵庫、大阪、京都の関西3府県知事が23日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除を国に求めた。ただ、これから歓送迎会など会食の機会が多いシーズンを迎えるだけに、井戸敏三知事は引き続き注意を呼び掛け、「段階的解除」と強調。再拡大の兆しをつかむため、繁華街でのモニタリング調査を検討するなど、解除しても懸念含みとなりそうだ。 関連ニュース 【表】兵庫県の緊急事態宣言解除要請の基準と現状 緊急事態解除要請 全面解除は「感染者一桁にならないと」兵庫県知事 兵庫県、緊急事態宣言の2月末解除を要請へ 飲食店の時短緩和

 この日、兵庫では、解除要請の基準としていた二つの指標をクリア。井戸知事は「重症病床の使用率が40%台になるなど、医療の逼迫(ひっぱく)度合いは相当低くなっている」と説明した。
 大阪府の吉村洋文知事に比べ、これまで解除には慎重だった井戸知事。このタイミングの是非を問われると、「全部の社会活動をやめない限り、『抑え込めます』と言う自信はない。ただ、最善は尽くす」。
 時期的な問題もある。3月に入れば卒業式や謝恩会、人事異動に伴う歓送迎会、4月には入社・入学と人の動きが加速する。
 県は、飲食店への時短営業要請について、宣言が解除されても3月7日までは「午後9時まで」としており、「事業者には協力をぜひお願いしたい」と求めた。
 この日の3府県知事会議などで、知事らは「怖いのはリバウンド」「3度目の宣言を出さないように」と声をそろえた。
 国や関東の自治体は感染拡大の兆候をつかむため、無作為の人にPCR検査をするモニタリング調査を行っている。井戸知事は「県としても検討課題。やるとしたら、繁華街が中心になるだろう」と話した。
 また、県は独自に5段階の警戒基準を設けたが、昨年12月以降、感染者が急拡大し、現状が目安をはるかに超えていた。解除後、指標をどうとらえるかについて県の担当者は「まずは、解除要請にあたって設けた二つの基準を達成し続けることができるか。注意深くみていく」とした。
 一方、解除を待たず、さっそく動く業界も。
 姫路セントラルパーク(姫路市)は23日、3月4日から平日の営業を再開すると発表した。1月18日から開園を土、日曜のみに絞っていた。同パークは「解除が要請できる程度に事態は改善したとみている。園内で咲き始めた桜と動物を楽しんでほしい」と期待する。(佐藤健介、安藤真子)
【特集】目で見る兵庫県内の感染状況

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