コロナ休校から1年「学習の遅れ、挽回できた」 兵庫県教育長
2021/03/09 14:00
コロナ禍の学校現場の対応について振り返る西上三鶴・兵庫県教育長=兵庫県庁(撮影・鈴木雅之)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で昨年2月下旬、政府の要請により、全国の小中高などが一斉休校してから1年が過ぎた。兵庫県内では春休みを挟み約3カ月間の休校となり、再開後も夏休みや行事を縮小するなど、感染予防を施しながらの教育現場は混乱の1年になった。前例のない事態に追われた教育現場について、西上三鶴・県教育長に振り返ってもらった。(まとめ・斉藤絵美)
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■再開後は授業最優先 ICT分野、大きく進歩
-どんな1年だった?
学校再開の判断、入試や行事をどうするかなど、県教育委員会内の課長会議は64回に及んだ。県立学校長や市町教委とのやりとりも数え切れない。総力戦の1年だった。
-昨年2月下旬、政府の要請を受け、一斉休校を決めた。
学校は子どもたちにとって生活の主体。学ぶ機会を確保したいという思いは強く、休校後は感染状況をみながら再開にどのような対応が必要かを探った。
しかし、目に見えないウイルスを相手に、学校再開の判断は難しかった。学習させたい思い以上に感染リスクが高くなり、判断が二転三転することもあった。
-学習の遅れは挽回できたか。
授業が最優先。夏休みや学校行事をつぶして授業時間数を確保し、挽回できたと思う。県内の小中学校を対象に抽出実施した学力調査では、コロナの影響は見られなかった。ただ、1年間の結果だけで判断して大丈夫かという懸念もある。5月にある全国学力・学習状況調査などを踏まえないと評価できない。
再開時には、アクセルを踏み続けないよう現場にお願いした。心のケアが必要な子がいることを前提に接してもらうよう伝えた。
-感染対策しながらの学校生活をどう見たか。
感染対策はできる努力であり、してもいい苦労だった。子どもたちは素直で我慢強い。マスクの着用など感染予防については徹底してくれた。結果としてクラスター(感染者集団)は少なかったが、家族感染が増えた後半は少なからず子どもも感染した。
運動会などの学校行事が軒並み中止や縮小になったが、可能な限りやってもらう方向で、どうすればできるか考えてほしいとお願いしてきた。一方、行事の意義を考えるきっかけになったのはよかった。先生任せではなく、子どもたちが知恵を出し合って実施した学校もあると聞いている。
-情報通信技術(ICT)の導入は加速した。
新型コロナの影響で唯一進んだことではないか。県立高校では2022年度から入学時にタブレットかパソコンを購入してもらう予定だが、教員が生かせなければ意味がなく、研修だけでは足りない。どう使えるのか、各校で活発に議論してもらいたい。
-ウィズコロナの学校現場はどう変わる?
マスク着用などのルールを守れば教育活動はできる。入試や卒業式、入学式などが普段通りできれば、落ち着いてくる。しかし、感染拡大と収縮の繰り返しが長期化すると、子どもも教職員もストレスがたまる。それが心配だ。
人はこれまで人と接しながら成長してきた。コロナを経て、ICTを活用したバーチャルでの対面がどの程度定着するのか。それによって学校の育成方針が変わる。社会の生活スタイルがどう変化するか、一番の懸念でもある。