若手4人が主役、恋心や親子愛熱演 三月花形歌舞伎
2021/03/11 19:30
「川連法眼館」より。(左から)佐藤忠信・実は源九郎狐役の尾上右近、静御前役の中村壱太郎、義経役の中村橋之助((C)松竹)
20、30代の若手4人が交代で主役を務める「三月花形歌舞伎」が21日まで、京都・南座(京都市東山区)で上演中だ。名作「義経千本桜」のうち、源義経の恋人・静御前と、義経の部下・佐藤忠信に化けた源九郎狐の演目が中心。静の恋心や狐が親を慕う思いが、時代を超えて感動を呼ぶ。
Aプログラムは中村壱太郎(静)、尾上右近(狐)、Bプログラムは中村米吉(静)、中村橋之助(狐)。壱太郎は上方歌舞伎の女形のホープで、父はNHK連続テレビ小説「おちょやん」で道頓堀の芝居小屋を牛耳る「鶴亀株式会社」社長役の鴈治郎。
演目は「吉野山」と「川連法眼館」。吉野山は、源平合戦後に兄・頼朝と仲たがいして逃げ落ちた義経の跡を慕う、静と忠信(源九郎狐)の旅路を描く。とりわけ奈良・吉野山を背景に、義経の無事を祈って静が舞う場面は秀逸。満開の桜に彩られた山と、静の赤い着物の鮮やかな対比に、思わずため息が出る。
川連法眼館は、義経がかくまわれている吉野山の館が舞台。静に対し、なぜ忠信に化けたかを狐が語るくだりが見どころだ。実は、静の持つ鼓の皮に用いられた狐の子で、静と鼓を守るため旅路に同行したという。子狐の親を思う心、鼓を与えられた時の素直な喜びは感動的。狐らしい手付きや曲芸的な動きも必見だ。
昼の部(正午開演)、夜の部(午後4時15分開演)でプログラムを変更する。1等席1万千円ほか。チケットホン松竹TEL0570・000・489(午前10時~午後5時)。(金井恒幸)