神戸だけ、なぜか遅いサクラの開花 のんびり標本木、マイペースに拍車

2021/03/24 18:56

「開花」したものの、まだつぼみの多い神戸の標本木=24日午前、神戸市立王子動物園(撮影・長嶺麻子)

 ようやく24日に「開花」した神戸のサクラ。同じ関西圏なのに、今年は京都より8日、大阪より5日も遅かった。ここ数年、その“時間差”は拡大傾向だ。神戸市内でも道ばたでは多くのサクラが咲いているのに、なぜ「開花宣言」は遅れたのか。 関連ニュース 「夜桜通り抜け」2年連続中止 神戸・王子動物園 “神戸の奥座敷”に遊園地あった 花見の名所、大相撲の巡業も 「だいすきな木を切らないで」男児が手紙で訴えた桜並木、復活へ

 気象庁が開花の指標にしているのは、全国58地点の標本木。5~6輪の花が咲けば「開花」となる。
 兵庫県内では2002年から王子動物園(神戸市灘区)にあるソメイヨシノが指定され、今年で20回目の開花観測となった。樹齢はおよそ70年といい、老木の域に入るが、それまでの標本木だった旧神戸海洋気象台(同市中央区)敷地内の木に開花時期が近く、「総合的に判断して決めた」と神戸地方気象台。
 今年の神戸の開花は昨年より2日、平年より4日早かった。だが、全国的に見るとかなり遅い。23日時点で開花していなかったのは徳島、神戸、長野、新潟、富山と東北地方、北海道だけだった。
 この20年間の開花時期を他都市と比較すると、平均で東京よりも5・3日、名古屋よりも4・1日遅い。関西で比べても、京都より2日、大阪より1・3日遅い。特に17年以降の5年間は“差”が広がり、大阪よりも平均3日遅くなっている。
 今年は各地で記録的な開花の早さが伝えられる中、神戸ではなかなか「開花」に至らず、大阪とは20年間で最大となる5日の差がついた。標本木に不測の事態が起きたときのために、気象台は同園内に数本の「副標本木」を定めて観測しているが、大阪とほぼ同じタイミングで開花している木もあった。
 サクラの名所・夙川沿い(兵庫県西宮市)などはすでに多くの花が咲いている。神戸の標本木の開花が遅い理由として、「気圧配置や降雨の影響も考えられるが、実際のところは分からない。樹齢も影響しているかどうか分からない」と同気象台の担当者。開花宣言と一般の人々との感覚にずれが生じているが、「そもそも開花は人々の行動を促すためではなく、生物に及ぼす気候の影響を知るためなので、1本の木を長期的に観測することが大事」としている。
 神戸の「開花遅れ」は今後も続くのか-。(高田康夫)

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