新長田再開発、市民研究会が検証 「赤字に税投入は不当」神戸市の検証を批判
2021/04/07 10:14
神戸市の検証報告書について議論を交わした市民検証研究会の会合=神戸市長田区二葉町5、新長田合同庁舎
阪神・淡路大震災後に神戸市長田区で進められた新長田駅南地区再開発事業について、同市が発表した検証報告書を民間の立場から検証してきた「市民検証研究会」が6日、報告書案を公表した。「早期生活再建など事業目的はおおむね達成された」などと評価した市の検証に対し、「実態は災害復興に便乗した副都心建設。巨大な建物で管理費が高く、商業者を苦しめている」などと批判した。(古根川淳也)
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被災者の立場から災害復興を提言してきた民間団体「兵庫県震災復興研究センター」(同市長田区)が事務局を務め、元京都府立大学長の広原盛明さん(都市計画)ら有識者6人で議論してきた。
報告書案は、市の検証が「8769億円の経済波及効果などを考えると、326億円の赤字見込みに一般会計繰入金で対応するのも相応」とした点を「巨額投資に経済波及効果が生じるのは当然。有効活用されておらず、赤字に税金を投入することは正当化されない」などと批判した。
市が「地区の夜間人口が1・4倍になった」とした点も「長田区全体では人口が減少しており、区の活性化をけん引する役割は果たしていない」と指摘した。
この日、再開発地区内で開かれた会合には地元商業者も出席。「店によって管理費の負担割合が違い、商業者は分断されている」などと発言した。
研究会では夏にも市民向けシンポジウムなどを開催し、報告書案を精査して出版する予定だという。同センターTEL078・691・4593