神戸市、文化ホールの移転計画大きく見直し 財源コロナ対策に
2021/04/21 23:01
神戸市役所2号館=神戸市中央区加納町6
老朽化した神戸文化ホール(神戸市中央区)の三宮への移転計画で、市は21日、市役所2号館新庁舎(同)の音楽専用ホール設置を中止する方針を明らかにした。高層ツインタワーに入る予定の大ホールと中ホールの音響などを向上させて補う。新型コロナウイルス禍で公演が激減している上、コロナ対策の財源確保が喫緊の課題となる中、計画の見直しが必要と判断した。
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現在の神戸文化ホールは大ホール(2043席)と中ホール(904席)を備える。老朽化のため、三宮再整備の一環として移転計画が進められてきた。
昨年3月に市が公表した基本計画では、市役所2号館新庁舎に約800席の音楽専用ホールを配置。高層ツインタワー1期ビルに大ホール(約1800席)、隣接する同2期ビルに区民ホールを兼ねた多目的の中ホール(約700席)の整備を予定していた。
新たな計画では、市役所2号館の音楽専用ホール整備を見送り、2期ビル・中ホールの音響設備などを充実させて代替とする。また、1期ビルの練習室に区民ホールの機能を持たせるようにした。市役所2号館の音楽専用ホールのスペースは商業施設を入れるなどして活用を図るという。
市の試算では、計画の見直しに伴い、ホールの整備費や維持・管理費など30年間で約85億円を削減。市はこれらを6月補正予算で文化・芸術活動の支援費に充てるほか、緊急のコロナ対策などに回すとしている。
市内ではほかに、西区に文化・芸術ホール、中央区の沿岸部に多目的アリーナの整備が計画されている。また、東遊園地(中央区)には図書館も開業を予定する。
市役所2号館への音楽専用ホール開設は、周辺地域の集客効果を高める狙いもあったが、久元喜造市長は「ホールがなくても、その役割を担える施設整備の計画が出てきた。音楽専用ホールの計画を中止することは残念だが、コロナ禍の状況を踏まえ、見直しを進めたい」としている。(三島大一郎)
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