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明珍宗敬(みょうちんむねたか)さん
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明珍宗敬(みょうちんむねたか)さん

 平安時代から続く甲冑(かっちゅう)師の家系の53代目当主を引き継いだ。家業である兵庫県の伝統工芸品「明珍(みょうちん)火箸(ひばし)」を作り続けて今年で24年目になる。「私は一族の通過点。ご先祖様や次の世代の名前を傷つけるようなものは作れない」と言葉に力が入る。

 明珍家は江戸時代、姫路藩お抱えの甲冑師だった。明治期には生活必需品の火箸になりわいを変え、戦後に需要が落ち込むと、父の52代目宗理(むねみち)さん(79)が火箸の触れ合う音を生かした火箸風鈴を考案した。三男として生まれた宗敬さんは、幼少期から工房で汗を流す父の姿を目に焼き付けながら育った。

 明珍火箸の特長である澄んだ余韻は、鉄や玉鋼(たまはがね)、チタンなどの素材を何度も打って鍛えることでしか生まれない。「微妙な焼き加減、打ち加減は一族の秘伝。機械には再現できない技だからこそ追求しがいがある」

 父の支えになろうと、大学を中退して弟子入りしたのは22歳の頃。朝から晩まで1300度に達する炉の前にかがみ、ひたすら鉄の棒を鎚(つち)で打つ。父と同じ音が出るまで5年、感覚の狂いがなくなるまで10年。それでも「心が乱れれば音は見事に響かなくなる。誠実に向き合う姿勢を忘れたら終わり」と語る。

 時代の求める形に合わせ、一族の鋳造技術を応用させてきた明珍家。近年は鉄花器や仏具なども手掛け、活躍の場をさらに広げる。当主を引き継ぐプレッシャーはあるが「それ以上に、宝物にしたいと思ってもらえるような音色をつくれる幸せをかみしめたい」。姫路市在住、45歳。(地道優樹)

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