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アスベストの資料写真(sakura/stock.adobe.com)
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アスベストの資料写真(sakura/stock.adobe.com)

 クボタショックとして日本のアスベスト(石綿)問題の扉をこじあけた尼崎市のクボタ旧神崎工場内外の被害発覚から16年。史上最悪の産業災害である石綿禍の責任の所在が見えてきた。17日の最高裁判決は危険性を知りながら適時適切な規制を怠った国と建材メーカーの責任を確定した。建設工事で経済成長を下支えし、その中で命と健康を奪われた労働者の救済に道筋をつける内容だ。一方で解体や震災による倒壊時に飛散は続いており、労災と連続する住民被害の救済も手薄なままだ。

 「クボタショックで石綿禍が公害と分かり、大阪・泉南の工場労働者らの訴訟で国の不作為が裁かれた。建設訴訟の判決は救済の道を広げる重要なエポックだ」。大阪アスベスト弁護団の伊藤明子弁護士は話した。

 日本の石綿輸入量は1千万トン。防火、耐火、絶縁、防音などに優れ、7割が建材に使われた。大工、吹き付け工、内装工、外壁工、配管工、塗装工、左官、電気工…と幅広い現場で石綿に触れるリスクがあった。

 国は戦前からその危険性をつかんでいたにもかかわらず、「管理して使えば大丈夫」と実効策を講じなかった。判決は1975年から2004年まで国が労働安全衛生法に基づき作業者への防じんマスク着用や現場で警告表示をしなかった点を違法とした。

 指摘されたのが建材メーカーの責任だ。ニチアス(東京)は「日本アスベスト」として業界をリードし、前身が「野澤石綿セメント」のノザワ(神戸市)は石綿スレートを初輸入したパイオニアだ。判決は作業者への警告表示義務とともに、市場シェアに応じて責任を負う可能性も示した。

 石綿被害は泉南のような工場内暴露、建設労働の暴露、工場周辺や市民が吸引する環境暴露に大別される。先の二つは責任が確定したが、環境型はどこで吸引したのか分かりにくく、誰もが被害者になり得る。対応する石綿健康被害救済法は見舞金の延長という低い給付水準にとどまる。

 建設被害と表裏なのが震災時の飛散だ。労働者は建物を造る際にリスクにさらされ、震災が起きると倒壊による粉じん飛散で労働者のみならず周辺住民にも被害が及ぶ。阪神・淡路大震災時、解体やがれき処理に携わった人たちの発症を見れば明らかだ。

 埋もれた被害を掘り起こし、隙間なく格差なく、どう救済するか。今回の最高裁判決を機に救済法を補償の観点から見直すときにきている。(加藤正文)

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