兵庫県内の自宅療養・待機者 2カ月で50倍 神戸市「入院時期保証できず」
2021/05/05 07:00
病院との調整を続ける保健師ら。神戸市では病床が逼迫し、症状が重い患者も自宅待機を余儀なくされているという=4月27日午後、同市役所(画像の一部を加工しています)
新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、兵庫県内で自宅での療養、または入院・宿泊療養の待機者が急増し、5月3日時点で計3462人に上っている。兵庫で前回の緊急事態宣言が解除された3月1日時点の自宅待機者と比べて約50倍となり、昨年秋から冬にかけての「第3波」のピーク時に対しても4倍以上。感染力が強い変異株が猛威を振るう「第4波」で、医療体制が追いつかない実情が浮き彫りになった。
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兵庫県は昨年春の「第1波」から、陽性者は自宅にとどめず、入院または宿泊施設での療養を原則とした。だが昨年末から医療体制が逼迫(ひっぱく)し、1月中旬に入院や宿泊療養の待機者が800人台に。2月下旬には待機者は100人を切り、2度目の緊急事態宣言が解除された3月1日は70人となったが、今回の「第4波」で急増に転じた。4月8日には待機者が千人を突破。県は翌9日、「自宅療養ゼロ」の方針を取り下げた。
軽症以下で65歳未満などといった条件を満たした場合に認められる自宅療養者も、4月17日には千人を超えた。県は確保病床数を96床増やして935床としたものの、入院を待つ患者は増加した。
5月3日時点で、入院・宿泊療養の待機者は1958人、自宅療養者は1504人に膨らんだ。全ての患者のうち入院している人の割合を示す「入院率」をみても、3月1日時点の65%と比べて、50ポイントも減らした15%と大幅に悪化している。
こうした医療逼迫によって、県内で連日、入院調整のため自宅で待機中だった患者の死亡が相次いでいる。神戸市では4月以降に4人が亡くなり、同市健康局の花田裕之局長は3日の会見で「(感染拡大の)波が大きすぎて、病床が追いつかず、飲み込まれている。いつ入院できるかの保証はなく、何人亡くなってもおかしくない状況だ」と窮状を訴えた。(井川朋宏)
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