ノーベル賞有力候補の前田浩さん死去 抗がん剤研究、宍粟出身

2021/05/20 17:56

前田浩さん

 最新の抗がん剤に応用される「EPR効果」の発見でノーベル賞の有力候補に名前が挙がっていた熊本大名誉教授の前田浩(まえだ・ひろし)氏が18日午前6時25分、肝不全のため熊本市内の病院で死去した。82歳。兵庫県宍粟市出身。葬儀・告別式は近親者で済ませた。喪主は妻紀子(のりこ)さん。後日、お別れの会が開かれる予定。 関連ニュース 国産初の手術支援ロボ、初手術を成功 前立腺がんを摘出 ステージ4でもあきらめないがん治療 舌がん公表の堀ちえみさんに聞く 乳がん患者専門の下着店 手術後の悩み、女性店員がケア 国内外15種試着可

 前田氏は同県山崎町(現宍粟市)に生まれ、龍野高校から東北大農学部に進学。米・カリフォルニア大大学院などでタンパク質やウイルス学など幅広い知識を学んだ。
 熊本大医学部教授だった1986年、分子量が大きな物質はがん組織に集まりやすく、とどまりやすいという現象「EPR効果」を発見。米情報会社は2016年、前田氏をノーベル化学賞の有力候補に選んだ。
 がん研究の第一人者として活躍する一方、がんや新型コロナウイルスの予防には野菜スープが効果的だとする本を出版。科学者の知識を社会に分かりやすく説明することを心がけた。
 故郷の宍粟市で2017年に講演した際は「城原中(現山崎南中)時代の先生が好奇心をあおってくれたおかげで素養が伸びた」と語っていた。
 問い合わせはバイオダイナミックス研究所TEL096・383・4577
(古根川淳也)

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