市長「差別助長する内容で、あまりに悪質」 ドワンゴに部落差別動画削除命令で会見
2021/05/31 16:45
部落差別動画の削除について説明する酒井隆明市長=31日午後、丹波篠山市北新町、同市役所
兵庫県丹波篠山市内の同和地区を撮影した投稿動画の削除を命じた神戸地裁柏原支部の仮処分命令について、同市の酒井隆明市長らが31日、記者会見した。酒井市長は「動画は差別を助長する内容そのもので、あまりに悪質だった」と、怒りを込めて訴えた。
関連ニュース
市長「いまだにこういうことをする人がいるのかと怒りわいた」 ドワンゴに部落差別動画削除命令
部落差別動画、ドワンゴに削除命令 全国初、ニコニコ動画の投稿 神戸地裁支部
ネットの悪意、遠い根絶 自治体監視「削除しても…いたちごっこ」
会見によると、昨年9月以降に投稿された動画は約20分間。集落内を車と徒歩で案内する内容で、差別的なテロップも付けていた。削除を命じられたドワンゴ社(東京)が運営管理する動画共有サイト「ニコニコ動画」以外にも、「ユーチューブ」と「ライブドアブログ」に動画や記事が投稿されていた。
酒井市長は「いまだにこんなことをする人がいるのかと驚いた。表現の自由があろうと、許されるものではない」と振り返った。
地元自治会の相談を受け、同市は「住民のプライバシーや名誉権を侵害している」と判断。市と地元自治会長の連名で、同10~12月、3社を相手取り、仮処分を申し立てた。その後、ユーチューブとライブドアブログの動画は管理者が自主的に削除。ドワンゴ社が争う姿勢を示したため、同支部が今年2月、削除を命じる仮処分を出したという。
酒井市長は申立人として積極的に関わったことについて「部落差別をなくすのは市の責務で、長年取り組んできた」と説明。「二度とこのようなことが起こらないよう、動画などを扱う関係機関や企業も内容を確認し、精査する必要があるのでは」と呼び掛けた。
今回は、動画の早期削除が目的で、投稿者の特定は求めなかった。同市法務専門員の川嶋将太弁護士は「今後、別の動画サイトへ再び投稿することなどが続けば、投稿者を特定し、法的措置を取る必要がある」とした。市の麻田英史・人権推進課長は「差別の歴史などを知り、正しく理解してもらうことが必要。啓発が重要だ」と話した。