コシノヒロコさんに神戸新聞平和賞 スポーツ賞は田中希実さん 4部門で表彰式
2021/06/01 14:30
受賞した(左から)田中希実さんの母・千洋さん、黒田権大さん、コシノヒロコさん、神戸フロイデ合唱団の絹見和則さんと亀井正比古さん、高梨柳太郎・神戸新聞社社長=1日午前、神戸市中央区(撮影・小林良多)
優れた業績を上げた兵庫県ゆかりの個人・団体を顕彰する「第75回神戸新聞平和賞、文化賞、社会賞、スポーツ賞」の表彰式が1日、神戸市中央区の神戸ポートピアホテルであった。平和賞は、世界的ファッションデザイナーで、神戸ファッション美術館名誉館長のコシノヒロコさん(84)=同県芦屋市=が受賞した。
関連ニュース
「空回ってしまう」舞台で圧巻の19人抜き 田中希実、パリ五輪へ「初速のまま駆け抜ける1年に」 都道府県女子駅伝
都道府県対抗女子駅伝 兵庫が7位、2年ぶり入賞 田中希実が2区で19人抜き 宮城が29年ぶり優勝
都道府県対抗女子駅伝 兵庫は2区で田中希実起用 上位返り咲きへ前半勝負
ヒロコ、ジュンコ、ミチコの「コシノ三姉妹」の長姉としても知られるコシノさん。日本の伝統的な美を生かした存在感のあるファッションが特長で、パリ・コレクションに参加するなど、豊かな感性は世界を魅了する。県内では、淡路花博でファッションとアートを融合した展覧会を開催し、同美術館でも公募によるショーをプロデュース。新型コロナウイルス禍の今こそ「美や芸術の力が必要」との信念で、元気を発信し続けている。
文化賞は「神戸フロイデ合唱団」(神戸市中央区)に贈られた。市民の混声合唱団として70年の歴史を誇り、現在、20~80代の約120人が所属する。ドイツ語で「歓喜」を意味する「フロイデ」の名の通り、ベートーベンの第九の公演は通算53回に上る。阪神・淡路大震災以降は毎年夏に鎮魂曲を披露するなど、神戸とともに歩んできた。
社会賞は、姫路空襲の語り部、黒田権大(ごんだい)さん(92)=同県姫路市=が受けた。1945年夏の姫路空襲の経験を、子どもたちや各種団体に30年以上語り続け、講演は300回を超えた。黒田さんは、猛火に包まれる姫路の町で祖父母を亡くし、出征した兄も戦地で失った。「戦争は人類最大の罪悪」と、平和への思いを訴え続けている。
スポーツ賞は、陸上競技選手の田中希実(のぞみ)さん(21)=同県小野市=が受賞。この日は代理で母親の千洋(ちひろ)さん(51)が受けた。田中さんは昨年7月、女子3000メートル、翌月女子1500メートルで日本新記録を樹立。中長距離のホープとして注目を集める。陸上一家で育ち、中学時代から全国大会で活躍した。国際舞台でも変わらぬ積極的な走りで、東京五輪での躍進が期待されている。
神戸新聞社の高梨柳太郎社長が功績をたたえた後、受賞者を代表し、コシノさんが「文化は人々に生きる力を与える。今後も希望や幸せを届けられるよう励んでいきたい」と話した。(中務庸子)