画家の吉見敏治さん死去 大震災で壊滅した神戸の街、モノクロで描く 90歳
2021/06/01 16:50
吉見敏治「阪神電車石屋川車庫」
阪神・淡路大震災の被災地を捉えた記録画で知られる画家吉見敏治(よしみ・としはる)さんが5月31日午後3時、神戸市内で死去した。90歳。神戸市長田区出身。自宅は非公表。通夜は1日午後6時から、告別式は2日午前11時45分から、いずれも神戸市兵庫区下沢通5の1の1、さつき会館(兵庫)で。喪主は長男・賢治(けんじ)氏。
関連ニュース
【絵】「JR新長田駅前」
【絵】「青葉町」
【絵】「ポートアイランド中埠頭」
絵は独学我流で、抽象画と具象画を行き来し制作。少年時代に神戸空襲を経験し、焼け跡や戦後社会の閉塞感などを表現した抽象画「壁」シリーズで注目された。
阪神・淡路大震災では、同市長田区の自宅が全壊。自ら被災者となりながら、壊滅した神戸の街をモノクロで描き、地震への怒り、悲しみを紙に刻んだ。がれきが残る被災地で、地面の上に腰を下ろして描く創作スタイル。その姿は神戸新聞の連載「生きる」でも取り上げられた。
兵庫県洋画団体協議会の代表などを歴任し、東日本大震災や熊本地震の被災地へ色紙を届ける援助活動をリードした。著書に画集「こうべ壊滅 阪神大震災 鎮魂の画譜」。神戸市文化賞、兵庫県文化賞などを受賞。