城崎温泉でワクチンの「職種接種」 800人程度対象
2021/06/05 22:14
城崎温泉街=豊岡市城崎町湯島(資料写真)
兵庫県豊岡市の城崎温泉の旅館やホテルでつくる「城崎温泉旅館協同組合」(77会員)は5日、加盟する各施設の従業員を対象に、「職場接種」として、新型コロナウイルスワクチンの接種を進めると発表した。地元の開業医らの協力を得て、21日以降に開始する予定。対象は800人程度を想定している。接種会場は調整中だが、1カ所にする意向。職場接種は、各地の大手企業を中心に検討が進むが、政府は、城崎温泉のような「共同実施」も併せて推進することで若年、現役世代の接種前倒しを図る狙いとみられる。
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政府は今月1日、市町が実施している「自治体接種」以外のルートとして、職場や大学での接種を21日から開始可能とすると発表。職場や大学では、接種券が届いていなくてもできるとしている。職場接種では、1会場当たりの対象者は「最低千人程度を基本」とするとの要件も示している。
産業医のいない中小企業については、商工会議所などを通じた共同実施を想定。政府が運輸、金融、農協など各業界側への実態意向調査を進めている。
城崎温泉旅館協同組合によると、数日前に、厚生労働省から同組合に意向調査があった。それを受け、同組合は地元の開業医などに協力を依頼。ワクチン接種を担う医師や看護師の確保にめどが立ったため、厚労省側に実施の意向を伝えたという。モデルナ製ワクチンの提供を受ける見込み。
同組合がいち早く職場接種の実施を決めた背景には、宿泊客が大幅に減る中で「安全・安心な温泉街」をPRする狙いもある。冬場の書き入れ時だった年末年始も緊急事態宣言と重なり、少なくとも12万人を超えるキャンセルが出た。同組合の日生下民夫理事長は「接種スピードを上げ、安心してお越しいただけるようにしたい」と話している。
職場接種を巡っては、大手企業が素早く検討に着手。神戸市と連携して、ノエビアスタジアム神戸(同市兵庫区)で市民向け大規模接種会場を設置、運営している楽天グループは4日、グループ会社の社員や家族6万人を対象に、21日をめどに接種を始めると発表した。東京の本社などで実施する。関西電力も4日、大阪市の本店と福井県にある美浜、大飯、高浜の3原発で21日以降に実施すると正式発表した。(末吉佳希)