強制不妊被害者の支援条例 明石市が全国初の制定検討
2021/06/16 15:33
明石市役所=明石市中崎1
旧優生保護法下(1948~96年)で障害者らに不妊手術が強いられた問題で、兵庫県明石市が国の一時金支給の対象から外れた配偶者らを支援する条例の制定を検討していることが分かった。同市によると、全国で初めて。泉房穂市長が16日の市議会で表明した。
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泉市長は配偶者らへの支援金をはじめ、幅広く被害者を支援する方針を示した。被害者の多くが高齢のため、条例の制定を待たずに今夏、旧法の被害を「犯罪に準ずる被害」として配偶者らを犯罪被害者支援条例の特例給付金(20万円)の対象に加える救済措置を設けたいと説明した。
2019年に成立した国の救済法では、不妊手術を受けた被害者本人のみが一時金320万円の支給対象になり、配偶者らは対象外となった。泉市長は取材に「一生子どもを持てなくなった配偶者も、被害者であることは明らか。国は過ちを認めながら不誠実な姿勢は変わっていない」と憤った。
県内では、明石市の小林宝二さん(89)、妻の喜美子さん(88)ら5人が国に損害賠償を求めて提訴し、8月に神戸地裁で判決が予定される。弁護団は、県内の被害が約330件確認される一方で一時金の請求は17件でしかないと問題視し、「明石市の動きで支援が広がるきっかけになってほしい」と望んだ。(小谷千穂)