神戸で神鋼株主総会 石炭火力への姿勢、質問相次ぐ
2021/06/23 21:54
神戸製鋼所の株主総会の会場付近で石炭火力発電所の中止を訴える市民ら=神戸市中央区港島中町6
神戸製鋼所の株主総会が23日、神戸市中央区で開かれ、同社が進める石炭火力による電力事業について姿勢を問う質問が相次いだ。会場周辺でも市民ら約10人が横断幕を掲げ、株主らに石炭火力発電所の増設中止などを訴えた。
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同社は同市灘区の石炭火力発電所で2基を増設する一方、二酸化炭素(CO2)を出さない燃料への転換を掲げる。2基のうち3号機は2022年1月か2月かに営業運転する見通し。
同社は50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)達成の目標を掲げ、山口貢社長は「グローバルで明確な潮流であり、CO2削減に果敢に取り組む」と強調。石炭火力発電所では、アンモニアを燃料とする発電技術などの導入を目指すとした。
株主は「世界レベルで石炭火力発電は太陽光や風力発電の約3倍のコストがかかる。不採算事業にならないのか」と質問。同社幹部は「政府の検証委員会で石炭火力は経済的に優位との認識だ」と見解を伝えた。
石炭火力発電については、先月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、海外への新規輸出支援を停止することで合意した。国内利用の廃止では、石炭火力代替燃料のコストなどが課題となっている。(石沢菜々子、森 信弘)