関西空港で空調システムの実証試験 関西エアポートと神戸大学
2021/06/30 19:09
神戸大=神戸市灘区六甲台町1
新型コロナウイルス感染対策や省エネを進めるため、関西エアポートと神戸大学は30日、関西空港で高度な空調システムの実証試験を始めると発表した。人工知能(AI)の活用などで空調による二酸化炭素の排出量を半減させ、感染リスクを95%以上減らす目標を掲げている。
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環境省の委託事業として本年度から始め、23年3月までの2年間で事業費は5億4560万円。
関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港を運営する関西エアポートグループは、50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げる。神戸大と同社のこれまでの共同研究で、関西空港の施設内で天井付近まで必要以上に温度が上下し、エネルギーが無駄になっている実態が判明している。
今回の事業では、感染リスクの「見える化」として、空港内のデジタルサイネージ(電子看板)や、スマートフォンで、人の密度、温度、湿度、オゾン濃度などを表示し、利用者に密を回避してもらう。また密が避けられない場所では、光を照射して空気を殺菌するとともに、オゾンを発生させることで、コロナなどの感染リスクを低下させる。さらにAIを活用し、施設内で人の多さによって空調を制御し、二酸化炭素排出も抑えるという。
国内外の路線を含む同空港第2ターミナルで、年内に部分的に始め、22年から本格化する。
実用化は最短で24年度以降となり、関西エアポートグループが運営する3空港のほか、大規模商業施設などにも普及を図る。神戸大の長廣剛特命教授は「この大規模な空間で行う事例は初めてなので、実現させたい」と述べた。(井川朋宏)