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スキー場のゲレンデを利用して始めたキャンプ場に立つ山根さん(左)と池田さん=宍粟市波賀町戸倉
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スキー場のゲレンデを利用して始めたキャンプ場に立つ山根さん(左)と池田さん=宍粟市波賀町戸倉

 1日に告示された兵庫県知事選(18日投開票)の争点の一つ、人口減少対策。県全体で年平均約1万3千人が減り続ける中、とりわけ深刻なのは少子高齢化が進む山間部だ。過疎に立ち向かう住民らに各候補の訴えはどう響いているのだろうか。(古根川淳也)

 鳥取県との県境に近く、「戸倉スキー場」で知られる兵庫県宍粟市波賀町戸倉。氷ノ山の麓にあり、多い年は累積10メートル以上の雪が降る。

 集落は7世帯16人で、50代以下は3人だけ。最年少の24歳の男性が、ここで生まれた最後の子どもだ。

 知事選の各候補者は過疎対策に「移住促進」や「リモートワーク環境の整備」「都市との交流」などを掲げる。だが、前自治会長の山根進さん(60)は「心に響かんなあ」と苦笑する。

 住民らは既に集落の存続を諦めたという。波賀町にあった唯一のスーパーは3年前に撤退し、買い物は鳥取市まで片道約1時間かけて行く。車はすぐに傷む。雪下ろしの負担も重い。「ここで暮らすには町より金がかかる。子どもたちに戻ってこいとは言えない」

 これまでに集落として手を打たなかったわけではない。移住者を受け入れたことはあるが、長続きしなかった。小さな集落では住民同士のトラブルが何より怖い。自治会の財産を処分する際も、移住者を平等に扱うかどうかが課題になる。

 県の補助を受け、集落活性化を研究する関西学院大のゼミ生とも8年間交流した。若者が住民の家に泊まって雪下ろしを手伝い、戸倉の活性化策を提言。卒業後、豪雪などを気遣って電話をくれる関係になった。

 だが、高齢化に伴って受け入れ準備が負担になり、3年前に終了した。山根さんは明かす。「自分たちが主体となって何かをするのはもう限界だった」

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 集落はスキー場に支えられてきた。1985年ごろはひと冬に約17万5千人が訪れ、住民らは民宿を開いてリフト運行会社を共同経営した。子どもたちも戸倉に戻り、17世帯66人でにぎわった。

 しかし、各地にスキー場ができると、利用客は年々減少。昨年は市の指定管理者が撤退し、閉鎖の危機に直面した。山根さんらは市に存続を訴え、隣の養父市でスキー場を運営する組合が経営を継承した。

 戸倉スキー場には昨秋、養父市出身の池田昂輔(こうすけ)さん(26)が支配人として赴任した。高知大で過疎について学び「田舎に価値をつくり、働く場所を増やしたい」と地元で就職した。早速、夏のゲレンデをキャンプ場に転用する試みを始め、週末は数十組でにぎわう。

 意欲的な新支配人に、山根さんも「応援したい」と雑木の伐採などを手伝う。集落の存続を断念しても、地域のために汗を流すことはいとわない。理由を聞くと、こう語った。

 「宍粟の端っこが弱ったら、そのうち中心が弱り、姫路も神戸も弱る。ここを守ることが兵庫全体を守ることになるんちゃうかな」

 県によると、50戸以下、高齢化率40%以上の「小規模集落」が2019年時点で613ある。10年間で2・3倍に増えている。

西播
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