「失業者の支援足りない」「なぜ休業手当もらえぬ」労働者の声反映を 兵庫知事選18日投開票
2021/07/17 13:50
勤め先の都合で休業手当が支給されないことを伝える通知書(画像の一部を加工しています)
兵庫県知事選の投開票が18日に迫った。県民を取り巻く多くの課題がある中、新型コロナウイルスの影響で労働者が職を失い、救済策の網からこぼれ落ちる状況が県内で続く。勤務先の都合で休業手当をもらえなかったり、再就職できなかったりし、生活が行き詰まる人もいる。当事者らは兵庫の新たなリーダーに「小さな声を拾い、施策に生かすかじ取りを」と望む。(小谷千穂)
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県内のハローワークによると、コロナの影響で解雇され、失業したとされる労働者は2654人(6月11日時点)。飲食店などの小売業が776人(うち非正規177人)と最多で、次に製造業の642人(非正規229人)が多かった。
県内の年平均失業率も2020年は2・7%で前年(2・2%)から悪化。一方で、5月の有効求人倍率は0・94倍と11カ月連続で1倍を下回った。
神戸市中央区の女性(57)は4月、働いていた飲食店の閉店が決まり、他店に移ることを促された。遠方で交通費も全額出ないため断ると「自己都合退職になる」と会社側に告げられ、神戸の労働組合に相談。会社と交渉し、失業給付金を多く受け取れる会社都合の退職へと変更できたが、「権利を主張できず辞める人は多いのでは」と話す。
派遣労働者として一般事務をしていた同市垂水区の女性(35)は勤務先の業績がコロナで悪化し、1月に失業。雇用保険をもらいつつ就職活動を始めたが、市県民税が負担になった。
神戸市では所得減に伴う減免は翌年、適用される。貯金を崩し、何とか約7万円を支払ったが、「県や市はコロナで仕事を失った人への支援があまりに足りない」と不安を口にした。
一方、コロナ禍を受け、国は雇用を維持した企業が従業員の休業手当を払うための雇用調整助成金(雇調金)を拡充したが、勤務先が該当しない人もいる。
雇調金は労災保険に加入している事業主が対象。だが、兵庫労働局によると、労災保険の未加入を理由に申請できないケースは月10件ほどあるという。
播磨地域のパチンコ店で働く女性(66)はコロナの影響で3カ月の休みを余儀なくされたが、店が労災保険に入っていないため休業手当をもらえなかった。
「勤務先の都合で支援を受けられないのは納得できない。県には、国の制度からもれる人を救う役割を担ってほしい」と求めた。
また、再就職の道も険しい。神戸市北区の女性(62)は昨年10月、勤務していたアパレル会社が倒産し、失業。再就職先を探したがアパレルの求人はない。保育補助の職に就いたが、実績を生かせず給料も減ったため辞めた。「前に進めないのはつらい」とこぼす。
NPO法人「ひょうご働く人の相談室」の山西伸史事務局長は「本当に困っている人が救われていない。地方自治体にはそうした人に細かく行き届く仕組みづくりが必要」と強調した。
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