兵庫県知事選 枠組み崩壊、政党の思惑が先行 政策論争なく、問われる「刷新」

2021/07/19 05:30

支持者から贈られた鯛を掲げる斎藤元彦氏=18日午後8時12分、神戸市中央区布引町3(撮影・小林良多)

 政党の思惑が先行した選挙戦だった。20年ぶりにトップが交代する兵庫県知事選は、自民党と日本維新の会の推薦を受けた元大阪府財政課長、斎藤元彦氏の初当選で幕を閉じた。 関連ニュース 維新から推薦の斎藤氏は… 大阪の言いなりになりませんか?〈「あれ」聞いてーな!知事選・候補者編〉 井戸知事ぼうぜん「『刷新』の言葉に踊らされた」 兵庫県知事選 兵庫県知事選 斎藤氏が県政史上初の自民分裂選挙を制す 維新推薦、大阪との関係に変化か

 自民の分裂、維新の初参戦、公明党は自主投票を決めるなど異例の展開をたどった。これまでの知事選の構図は崩れ、次期衆院選をにらんだ駆け引きに有権者は付いて行けなかったのではないか。5期20年に及んだ井戸県政の刷新を求めた結果とは言えるが、政策面で有権者に判断材料を提示できたかどうかは疑問だ。
 新型コロナウイルス禍への対応や深刻化する人口流出、低迷する地域経済…。山積する県政課題に対し、斎藤氏と、競り合った前副知事の金沢和夫氏が掲げた政策に大きな違いはなく、論争は深まらなかった。
 2週間後には新知事による県政がスタートする。
 しがらみのない政治を訴えてきた斎藤氏だが、選挙でつながった政党や支持団体との関係が政策や改革にどう影響するのか、気掛かりでもある。地方を抱える広大な兵庫では、大阪との連携強化を強調する姿勢に違和感を抱く県民もいる。
 自民分裂の余波で、主要会派が「オール与党」で知事を支える枠組みは崩壊した。斎藤氏と議会との緊張関係が予想され、井戸カラーに染まった庁内をどうまとめるのかも課題だ。
 先行きの見通せない時代に、有権者は未知数の43歳を選んだ。まずはビジョンと政策を丁寧に伝えることが必要だろう。選挙戦では「刷新」の具体的な手法までは見えなかったが、県民はその成果を期待している。(紺野大樹)

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