王位戦、相手の印象は? 藤井「精度の高い将棋を指している」豊島「一手一手が丁寧」
2021/07/20 22:05
対局室の検分を終え、撮影に応じる藤井聡太王位(右)と豊島将之竜王=20日午後3時45分、神戸市北区有馬町、有馬温泉の旅館「中の坊瑞苑」(撮影・吉田敦史)
藤井聡太王位(19)=棋聖=に、豊島将之竜王=(31)=叡王、尼崎市=が挑む「お~いお茶杯第62期王位戦」(神戸新聞社主催、伊藤園特別協賛)の7番勝負第3局が21日、神戸市北区にある有馬温泉の旅館「中の坊瑞苑」で始まる。1勝1敗のタイで迎える重要な対局を前に、両棋士が会場の検分に臨んだ後、インタビューで意気込みを語った。
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■藤井王位
-7月19日が誕生日。19歳となってから初の対局だが、気持ちに変化は。
「王位戦7番勝負は1勝1敗のタイの成績で迎えることになる。気持ちを新たにやっていけたらと思っています」
-新たな気持ちとは。
「ここから5番勝負という形になったが、豊島竜王と8時間という長い持ち時間で戦えるのは、自分にとっても貴重な機会。一手一手を考えて精いっぱい戦えれば」
-7番勝負で2局を戦って豊島竜王の印象は。
「やはり非常に持ち時間を有効に使い、一手一手精度の高い将棋を指している。ここまで精度に差が出ているのかなという印象があるので、第3局以降、こちらが改善したい」
-過密なスケジュールでの対局だが、体調を整えている。
「6月から対局がかなり多くなっていますけど、自分では体調面でも問題はない。ここまで良いペースで対局に臨めている」
-今回と同じ会場で、昨年の王位戦第3局に勝利したほか、今年6月も兵庫県・淡路島にある洲本温泉が舞台の棋聖戦第2局でも勝っている。兵庫県での対局への思いは。
「対局会場との相性はそれほど気にしていませんが、去年に続いての有馬温泉。温泉も一つの楽しみにしてきた」
-同じ会場で昨年あった第61期王位戦第3局は、木村一基九段(48)に勝利した。思い出は。
「昨年の王位戦第3局は、終盤、時間がなくなってから、かなり際どい局面になったので、そのあたりのことはよく覚えている」
-あすからの第3局は先手番。意気込みは。
「2日制の対局は一手一手しっかり考えることが大事なので、2日間を通して、それをやっていきたい」
■豊島竜王
-本シリーズを戦って藤井王位の印象は。
「2日制では初めての対局だった。持ち時間は長い対局で、序中盤から一手一手、丁寧に考えてこられている。前からそういう印象でしたが、改めてそう思った」
-第2局で敗れてから短い時間ですが、コンディションをどのように整えてきたか。
「ここまでで1勝1敗。改めて5番勝負で仕切り直しという感じ。時間は短かったが、第3局に向けて準備をしてきました」
-愛知県出身ですが、兵庫県尼崎市在住。地元兵庫での対局で、応援しているファンも多い。
「この場所(中の坊瑞苑)は、王位戦の対局では3回目で、いつも楽しみにしている。愛知県出身ですが、大阪や尼崎に長く住み、応援してくれる方も多いと思う。そういう人に良い将棋を見てもらいたい」
-王位戦で3年前に1回勝って、2年前に敗れた会場である「中の坊瑞苑」や有馬温泉の印象は。
「初めて指したのは菅井竜也八段(29)。その対局は割合うまく指せた印象。次は木村一基九段(48)戦。長手数で途中、体調が悪くなってしまったが、関係者に助けてもらってなんとか対局できた。(有馬温泉には)最近はあまりないが、昔は六甲山に登ってから温泉に入ったことが何回かあります」
-改めて意気込みは。
「前局は逆転負けというような形。気持ちを新たにして、自分らしく積極的な将棋を指していきたい」
-お気に入りの座布団を使っての対局。
「将棋会館でも使っているが、同じものを使ったほうが、何となく。足にもいいらしいので、愛用している」
(小林伸哉、井原尚基)