新トップ娘役の潤花 お披露目公演で大人の女性の雰囲気を醸しだす 宝塚歌劇宙組

2021/07/21 12:00

シャーロック・ホームズを演じる宙組トップ真風涼帆(手前右)とアイリーン・アドラー役のトップ娘役、潤花(同左)=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子)

 宝塚歌劇団宙組の「シャーロック・ホームズ The Game Is Afoot!」「D●licieux(デリシュー)!-甘美なる巴里(ぱり)-」が上演されている。新トップ娘役・潤花(じゅんはな)の宝塚大劇場お披露目公演で、トップ真風涼帆(まかぜすずほ)演じる探偵ホームズの心を揺さぶる詐欺師役。大人の女性の雰囲気を醸しだす堂々とした演技に、新トップコンビへの期待が高まる。(片岡達美) 関連ニュース 「男役から依頼あります」タカラジェンヌも通う下着の名店 宝塚音楽学校 合格発表も「歌劇風」 未来のタカラジェンヌ“暗黙の作法” 過度な負担、世間の流れにそぐわない…で見直し中

 「ホームズ」の舞台は19世紀ロンドン。実際にあった「切り裂きジャック」による連続殺人事件を背景に、裏社会を操る数学者、モリアーティ教授(芹香斗亜)との対決を描く。
 知的でスマート、ユーモアのセンスもあるホームズのイメージを体現するのが真風。「演技する上で大切にしている」という洞察力と観察力が、人物像に反映されている。
 対する潤は、165センチの身長を生かし、存在感は見劣りしない。2016年に初舞台、昨年9月に雪組から組替え。今年2月、真風の2人目の相手役に就任した。「(真風がつくる)空気感に応えたい」と話していた通り、男性を手玉に取り、ホームズとも対等に渡り合える知的な女性を落ち着いた演技で見せている。
 真風と2人、「アダルトな」雰囲気で、冒険活劇の要素が強調されがちなホームズの物語にあっても、宝塚らしい男女の情愛を無理なく表現していた。
 重厚な芝居とは打って変わり、「デリシュー」はスイーツをテーマにした色の洪水のようなレビュー。シャンソン、ラテン調のシャンソン、フレンチポップス、チャイコフスキー「くるみ割り人形」のアレンジなど、耳なじみのあるナンバーに乗せ、最後まで祝祭的な雰囲気にあふれる。
 序盤から出演者総出でカンカンを踊るなど、ギアはいきなりトップに。続く「王妃のお茶会」場面では男役の芹香がマリー・アントワネットに。生き生きとしてコミカルな王妃の側面を見せる。演出家・野口幸作の「レビューにはコメディーが必要」というポリシーが随所にうかがえる。
 圧巻は巨大なマカロンを積み重ねた「マカロン・タワー」。これが初舞台となる107期生がタワーに並んで登場、そのままラインダンスへつなぐド派手な演出で終盤を盛り上げる。
 これでもか、これでもかと繰り出される甘くておいしいスイーツに、観客はもう“おなかいっぱい”。最高に幸せな気持ちになる。
 8月2日まで。同21日~9月26日、東京宝塚劇場で。
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