五輪で注目スケボー、街では悩みの種? ベンチ破壊、危険走行…マナー違反相次ぐ
2021/07/29 14:15
神戸市が設置したスケートボードの使用禁止を知らせる看板=神戸市中央区波止場町、メリケンパーク
東京五輪の新競技で日本選手が金メダルに輝くなど、注目されるスケートボード。豪快なジャンプや華麗な回転技が若者らを魅了するが、練習に使われたとみられるベンチが壊されたり、公共スペースの通行を妨げたりするマナー違反が相次いでいる。人気の高まりとともに初心者も増えており、競技団体はルールの周知に頭を悩ませる。(小野萌海、丸山桃奈)
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神戸港に臨み、広々とした空間が広がる神戸市中央区のメリケンパーク。神戸市は打ち上げ花火やバーベキューと同様、スケートボードの利用を禁止する。
スケートボードは、乗ったまま障害物を跳び越えたり、手すりや階段に板底をこすりつけて移動したりする技を披露する。
メリケンパークの指定管理者によると昨年8月、噴水前広場で仕切りとして使っていた安全対策用のバーが折れていたため、神戸水上署に被害届を提出。スケボーでバーを壊したとする容疑で少年が書類送検された。
夜間は警備員が巡回するが、「注意すればやめるがすぐに戻ってくる」。芝を敷いたり、地面に凹凸を付けたりするなどの対策を検討するが、現状は難しいという。
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ルール違反とみられる被害は神戸・元町でも。大丸神戸店の周辺にある複数のベンチで4月、塗装のはがれなどが見つかった。市によると、いずれも設置翌日に確認され、撤去せざるを得なかったという。
JR、山陽垂水駅(神戸市垂水区)の周辺道路では、スケボーが歩行者の間を縫うように滑る様子が見られる。道路交通法は交通の頻繁な道路でスケートボードなどの行為を禁じるが、「頻繁」の解釈が難しいという。
一方、練習場が少ないという背景もある。
新型コロナウイルスによる3度目の緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が適用された4月25日~7月11日は、同市中央区のみなとのもり公園にある公共スケートボード練習場が閉鎖された。この間、仲間とメリケンパークでスケボーを楽しんでいた男性は「代わりにここに来た」と明かす。
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東京五輪では、スケートボードの男子ストリートで堀米雄斗が、女子ストリートで13歳の西矢椛(もみじ)が金メダルを獲得。堀米は会見で「楽しさやかっこ良さをみんなに伝えられた」と喜び、日本で練習ができる公園などが増えることを望んだ。
日本スケートボード協会(横浜市)は、専門店などに対し、客にマナー順守を伝えるよう求めているが、周知不足は解消しない。
横山純事務局長はさらなる啓発の必要性を認めつつ、「五輪をきっかけに一生懸命な選手たちの姿を見てもらい、一人でも多く競技の魅力に触れてほしい」と期待する。