バカ殿様やアイーン「志村けんワールド」存分に 大阪で大爆笑展

2021/08/11 20:30

「バカ殿様」の様子を再現した部屋。一緒に撮影もできる=大阪市中央区

 半世紀にわたり笑いを届けた喜劇王で、昨年3月に急死した志村けんさんの歩みをたどる「志村けんの大爆笑展」が、大阪市中央区の「なんばスカイオ7階コンベンションホール」で開催中だ。新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎で亡くなった衝撃から1年余り。白塗りとちょんまげ姿が忘れられない「バカ殿様」など国民的キャラクターと、「アイーン」をはじめとした決めぜりふ、名作コントの数々が小道具と共によみがえる。 関連ニュース 【写真】「白鳥」をあしらった「東村山音頭」で使われた衣装 【写真】「変なおじさん」の衣装と写真パネル 【写真】「ひとみばあさん」などのかつら

 志村さんは1950年、現在の東京都東村山市生まれ。小学校教諭の厳格な父に育てられたが、父がお笑い番組で笑顔だったのを見て「笑わせる仕事っていいな」と感じたことが、お笑いの世界に進むきっかけとなった。
 ザ・ドリフターズの一員として1970年代からお茶の間の人気者に。「8時だョ!全員集合」で歌った「東村山音頭」で頭角を現し、その後も「変なおじさん」などのキャラや「だっふんだ!」といったフレーズを次々と生み出した。
 会場の真ん中でくるくる回っているのは、「8時だョ-」に登場する、バレリーナ姿で股間から鳥の首が突き出た「白鳥」の等身大人形。当時、家族でテレビを楽しんでいたが、白鳥キャラの「イッチョメ(1丁目)、イッチョメ、ワーオ」というせりふでふざけるたびに、母親にたしなめられたことを懐かしく思い出す。
 会場に再現された「殿の部屋」は圧巻。特殊な粘土やシリコンを使って「バカ殿様」の毛細血管から毛穴、しわや肌のむら・弾力までを再現した。突き出した顎の下に手を横にした「アイーン」の姿は、「きっと本人も天国で笑っているだろうなあ」と思うほどの精巧さだ。
 口調は丁寧だが余計なことをしてしまう「ひとみばあさん」などのかつらや衣装、当時のコント映像も流れ、「しむけんワールド」に没頭できる。
 「志村のどこまでもバカでどこまでも崇高な作品たちを存分にお楽しみください」と加藤茶はコメントを寄せる。父が真面目なため「笑いが少ない家庭で育った」と話していた志村さん。だからこそ、動きで見せる「子どもから親まで家庭のみんなが分かる笑い」を“真面目に”追い求めたのだと感じる。
 9月5日まで。無休。一般千円ほか。関西テレビ公演事務局TEL06・6314・8262
(金井恒幸)

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