姫路のマティス作品、所在不明とされた「松方コレクション」の一つだった 油彩画「ニース郊外の風景」
2021/08/24 21:00
アンリ・マティスが描いた「ニース郊外の風景」
姫路市立美術館(兵庫県姫路市本町)収蔵のフランス人画家アンリ・マティス(1869~1954年)の風景画「ニース郊外の風景」が、松方幸次郎(1866~1950年)が収集した「松方コレクション」の一つだったとみられることが24日、分かった。コレクションの散逸で所在不明とされてきた作品の一つで、同館と国立西洋美術館(東京)による調査で確認された。
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会見した西洋美術館の陳岡めぐみ主任研究員は「松方が前衛的な作品も収集していたことを示す貴重な成果」としている。
「ニース郊外-」は、市立美術館が1994年に同市の医師國富奎三さん(83)から寄贈を受けた作品で、現在は常設のコレクションとして展示されている。
陳岡研究員によると、2018年にフランスで松方コレクションの一部を撮影した「ガラス乾板」が見つかり、所在不明となっていたマティス作「森の中に横たわる2人の女」の画像が判明。19年に松方コレクションの作品集に掲載したところ、國富さんが「ニース郊外-」と同一作品とみられることに気付いた。
マティスが1918年ごろに描いた油彩画で縦37センチ、横45センチ。21年に松方がパリの画廊で購入したが、依頼を受けてコレクションを管理していた人物が第2次世界大戦の戦火から作品を避難させる際、輸送費捻出のために売却したとみられるという。
國富さんは77年に英国のオークションで落札した。その際の作品名が「ニース郊外-」だった。國富さんは「松方も自身のコレクションが兵庫で展示されていることに満足しているのではないか」と話した。
姫路市立美術館(TEL079・222・2288)は午前10時~午後5時。一般210円。月曜休み。(井上 駿)