神道研究、集大成の47編収録 生田神社の加藤名誉宮司が発刊
2021/09/25 12:31
これまでの論文47編を上下2巻に収録した生田神社の加藤隆久名誉宮司=神戸市中央区下山手通1
神戸・三宮の生田神社名誉宮司で、神戸女子大教授も務めた加藤隆久さん(87)が、数え年で米寿を迎えた記念に、これまで執筆した歴史分野などの学術論文47編を収録した「神道文化論考集成」を刊行した。上下2巻約1200ページの大著で、明治政府の神道政策に影響を与えた幕末の国学者・岡熊臣(くまおみ)についての論文などを掲載している。(古根川淳也)
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加藤さんは宮司の次男として生田神社で育ち、国学院大大学院を修了。同神社の神職を務める傍ら、神戸女子大などで教壇に立った。今年8月で米寿を迎える記念に、研究の集大成として論文集を企画。書庫で過去の原稿に目を通し、学会などで発表した47編を精選した。
岡熊臣は加藤さんの研究で功績が知られるようになった人物で、津和野藩(現島根県津和野町など)の藩校で国学を教えた。津和野出身の国学者・福羽美静(びせい)らが明治天皇の即位儀礼や靖国神社の源流となる招魂社の設立に関わっており、明治期の神社行政を考える上で岡熊臣の影響は大きいという。
また、明治45(1912)年に日本初の南極探検隊に参加した生田神社神職・島義武についての論考や、世界各国の宗教施設が集まる神戸についての記述もある。
加藤さんは「人と書物にご縁をいただき、誰も知らなかったことが書けた。この本が学術的に少しでも役に立てれば」と話している。A5判。各巻5500円。出版社エピックTEL078・241・7561