万博での活用へ、尼崎臨海部に埠頭を計画 建設資材の運搬拠点、さらに入場者の移動拠点にも

2021/09/27 05:30

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 2025年大阪・関西万博が開かれる人工島・夢洲(大阪市此花区)での会場建設が本格化するのをにらみ、兵庫県が同県尼崎市臨海部に建設資材の運搬拠点となる埠頭を設ける方針を固めたことが分かった。場所は夢洲の北西2・5キロに位置する埋め立て処分場「フェニックス事業用地」の一部で、夢洲に約8分で船舶輸送できる。万博期間中も入場者が車を止めて船に乗り継ぐ拠点としたい考えだ。(竹本拓也) 関連ニュース 神戸港の「ポートミュージアム」水族館10月29日オープン 神戸のウオーターフロントに集客施設を整備 万博開催の2025年オープンを想定 25年万博の公式グッズ発表 奇抜ロゴ活用、60種類を販売

 県によると、事業用地は「大阪湾フェニックス計画」の一環で埋め立てをほぼ終え、東側の一部300メートルの岸壁と接続地3ヘクタールを埠頭とし、周辺の42ヘクタールを「分譲予定地」とする。既に一部で土地改良工事を始めており、県は取材に「万博会場の建設に携わる事業者に積極的に(活用を)働きかけていきたい」と認めた。
 県は06年の港湾計画で埋め立て後に埠頭を新設する構想を描く中、近くの夢洲が万博会場に決まり、用途を再検討していた。今後、周辺の交通網も整備する方針。今年3月には尼崎、西宮、芦屋市の「尼崎西宮芦屋港」の30年後を見据えた長期構想の策定に乗りだし、来年3月末までに港湾計画を見直すとしている。
 万博入場客の船舶乗り継ぎ拠点は万博の事務局が選定するが、県は埠頭周辺の分譲予定地が選ばれる可能性があるとみて準備を進める。ただ、淡路島や神戸港も候補に挙がり、事務局は「兵庫県内で会場外駐車場を検討しているのは事実」と述べるにとどめた。
 万博後の長期的な活用を目指し、県は埠頭周辺に空コンテナの置き場を運営する事業者の誘致も検討している。尼崎西宮芦屋港で取り扱う貨物は現時点で全て鋼材などのバルク(ばら積み)だが、担当者は「国際コンテナ戦略港湾に位置付けられる神戸港、大阪港を支援することで存在感を示せるのでは」と話す。
 夢洲では盛り土などの工事が既に始まっており、パビリオンなどの工事は23年以降に予定している。
【尼崎での大阪湾フェニックス計画】近畿2府4県の廃棄物を神戸、尼崎、大阪沖などで埋め立て処分する「大阪湾フェニックス計画」に基づき、1990年から受け入れが進められてきた。尼崎の事業用地は113ヘクタールで、公募で「船出」という地名が付いた。西側ではダイハツやトヨタの輸送基地、県の外郭団体による大規模太陽光発電所などが稼働している。

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