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農村部から路線バスで運ばれた野菜=三田市川除
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農村部から路線バスで運ばれた野菜=三田市川除
丹波篠山産の黒大豆枝豆を路線バスで運び、ターミナルの待合室で販売した=神戸市中央区
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丹波篠山産の黒大豆枝豆を路線バスで運び、ターミナルの待合室で販売した=神戸市中央区

 農産物や特産品を、乗客を乗せたバスで運ぶ「貨客混載」を神姫バス(兵庫県姫路市)が本格化させている。同県南あわじ市や西脇市の人気スイーツを神戸・三宮に運んで販売し、三田市内では農村部で収穫した青果を市中心部の直売所へ届ける。新型コロナウイルスによる移動自粛でバス会社や地域の店舗は大きな打撃を受けた。人口減少が進む中、同社は新たな戦略で路線維持と地域活性化を目指す。(土井秀人)

 13日午前10時すぎ、神戸・三宮のバスターミナル待合室に丹波篠山産の黒大豆枝豆が並んだ。丹波篠山市で工芸品や特産物を生産、販売する店「池田屋茂兵衛」がこの日朝に収穫したもの。用意した15袋は全て売り切れた。

 運んだのは三田市のニュータウンと三宮を結ぶ神姫バスの中距離路線。同社の主力路線の一つだが、コロナ禍で乗客は減っている。池田屋茂兵衛も顧客の中心だった京阪神の観光客がコロナの影響で減り、新たな販路開拓が急がれていた。

 神姫バスグループは2018年、宍粟市の路線バスで初めて貨客混載をスタート。その後広がらなかったが、コロナ禍による移動制限がバス会社を直撃した。神姫バスの乗降客数は路線バスで2割減り、収益の柱である高速バスでは半減。新たな収益策を探る中、貨客混載に再注目し、本格化させた。

 今年5月に、三田市の農村部で収穫された青果を、市中心部の直売所に運ぶ事業を開始。この路線は人口減少で赤字が続き、維持が課題となっていた。農村部の方でも、生産者は高齢化し、自分の車で収穫物を直売所へ運ぶことが難しくなりつつあった。

 運賃は1籠当たり200~250円。神姫バスの担当者は「1便当たりの額は小さいが、経費が必要ない純粋な利益になる。地域共栄は企業理念でもあり、地域の活性化はバス会社の使命」と力を込める。

 三田で手応えを感じたことから、他地域でも展開。中距離路線バスで地域の特産物などを三宮のバスターミナルまで運び、販売も担う取り組みを始めた。

 これまでに、フルーツサンドが人気のカフェ「レ・ボ・プロヴァンス」(西脇市)▽小野市の食パン店「イケメン大集合」▽「淡路島ばぁむ」を手掛ける洋菓子会社カタドル(南あわじ市)-の3カ所から月1~2回程度運行。フルーツサンドは毎回完売する好評ぶりで、レ・ボ・プロヴァンス代表の曽我豊さん(54)は「情報発信の意味も込めて、都市部で販売したいという思いはコロナ前からあった。商品を手に取り、休日などに店に来てもらうきっかけになれば、地域のにぎわいにつながる」と期待を寄せる。

■過疎地の交通網維持へ規制緩和

 貨客混載は、国土交通省が過疎地の交通網維持などのため、2017年に規制緩和した。新型コロナウイルスの影響で交通事業者の収益が悪化したこともあり、各地で広がっている。

 兵庫県内では全但バス(養父市)が17年から、豊岡市日高町のJR江原駅と神鍋高原をつなぐ路線バスでヤマト運輸の荷物を運ぶ。終点のバス停でヤマト運輸のセールスドライバーが荷物を受け取り、届ける。全但バスの担当者は「巣ごもり需要などでネット通販の利用が高まり、荷物が多すぎてバスに載せきれないケースも出ている」とする。

 JR西日本などは今年5月、金沢-東京間の新幹線で貨客混載を本格的に始めた。海産物が中心で、「朝取れた物をその日中に運べる」と利点を説明。10月には佐川急便などと実証実験を行い、鹿児島中央-新大阪間でクルマエビを運んだ。

 農業マーケティング会社のアップクオリティ(東京)は18年、少量・多品目の農産物を効率よく運ぶため貨客混載を始めた。現在、全国のバス会社などと約60地域・70路線で連携。泉川大社長は「空気を運んでいたスペースに荷物を載せるので、コストをかけず利益が出る」とし、「地域振興への取り組みは、バス会社などのブランド向上につながる」と話した。(土井秀人)

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