絆会本部、解体し民間に売却へ 住民と警察、行政が連携、尼崎市で事務所撤去相次ぐ
2021/10/19 05:30
売却が決まった指定暴力団「絆会」の本部事務所=尼崎市戸ノ内町3
指定暴力団「絆会」(旧・任侠山口組)が本部としている傘下組織「真鍋組」(兵庫県尼崎市戸ノ内町3)の事務所について、民間事業者へ売却されることが18日、関係者への取材で分かった。建物は年内にも解体される見込みという。絆会を巡っては市内にある別の拠点事務所も解体されており、市内の暴力団事務所が相次いで姿を消すこととなった。
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絆会は2017年、全国最大の暴力団「山口組」(神戸市灘区)から離脱した「神戸山口組」(同市中央区)の一部組長が再分裂して発足した。真鍋組事務所は本部として使われていたが、住民の訴えを受けた神戸地裁が18年9月に使用を差し止める仮処分を決定。組幹部が住居での利用を認めるよう不服申し立てを行ったが、大阪高裁に棄却され、3年以上立ち入れない状態が続いていた。
兵庫県警によると、事務所は少なくとも50年ほど前から現在の場所にあった。関係者によると、絆会側が売却の意向を示しているとの情報を得た住民が、購入を希望する民間事業者を紹介。事業者が反社会的勢力と無関係であることを確認した上で、尼崎東署や暴力団追放兵庫県民センターの仲介で交渉が進み、今月15日に売買契約が成立した。
県警によると、県内では16~20年の5年間で計25件の事務所が撤去された。尼崎市では、絆会が同市に本部を構えたことから住民らの暴追運動が本格化しており、今年9月には絆会の拠点の一つ「古川組」(尼崎市東難波町4)の売却も決まり、解体が進んでいる。
運動に携わってきた同市の70代男性は「市民と警察、行政が連携して事務所を撤去させる取り組みの先駆けになっているのではないか」と話した。