信号無視や危険な横断ダメ! 歩行者に「警告書」500件超交付 兵庫県警
2021/11/03 07:00
横断歩道のない場所を渡る人=神戸市中央区東川崎町(撮影・鈴木雅之)
今年9月末までの兵庫県内の交通事故死者数は77人(前年同期比10人増)で、そのうち3割超を占めたのが、道路横断中の歩行者だった。横断禁止場所での横断や交差点の斜め横断といった交通違反が事故につながっているとみられ、県警は今年から独自の警告書を新たに導入。4カ月間で500件以上交付するなど積極的な活用で注意を呼び掛けている。(谷川直生)
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「信号が青になるまで渡らないでください」「斜め横断は違反ですよ」。9月下旬、神戸市兵庫区の平野交差点周辺で、県警兵庫署員らが歩行者に注意を促していた。この場所では6月、道路を横断中の高齢女性が軽トラックにはねられて死亡する事故があった。女性は横断歩道ではない場所を渡っていたという。
県警のまとめ(速報値)によると、77人のうち「人対車両」の事故による死者数は27人(前年同期比10人増)。そのうち道路横断中の歩行者は23人を占めた。さらに詳しくみると、「横断歩道以外横断中」の事故で死亡したのは、兵庫区の女性を含む14人で、「横断歩道横断中」の9人を上回った。
道交法は、歩行者は横断歩道がある場所付近では「横断歩道によって道路を横断しないといけない」と定め、交差点では「斜めに横断してはならない」とする。横断歩道や信号交差点などを除き、車両の直前、直後での横断も禁止する。いずれも2万円以下の罰金または科料が科される。
県警は歩行者の事故の背景には歩行者自身の交通違反もあるとして、6月から歩行者の交通違反を取り締まる独自の「歩行者指導警告書」を導入し、運用を始めた。信号無視の他、禁止場所横断や斜め横断といった通行方法指示違反などを取り締まる。
直ちに罰則があるわけではないが、警告書は1年間保管され、危険な横断を繰り返す悪質な歩行者には罰則が適用される可能性もある。9月末までに526件を交付し、内訳は信号無視が最多の331件。横断禁止場所横断(123件)、横断歩道外横断(35件)と続いた。
県警の担当者は「車の運転手が歩行者に気付かないことも多い。事故に遭わないために正しく安全な道路の横断をしてほしい」と話している。