「状況さらに悪化」軍弾圧が続くミャンマーに支援を 大学生らが協力呼び掛け
2021/11/04 18:16
ミャンマーの民主化を推進する議員連盟の石橋通宏参院議員(右)に避難民への人道支援などを求める嘆願書を提出する山田純さん(右から2人目)らインターン生=7月、東京都内(山田さん提供)
国軍によるクーデターが起きて以降、軍の弾圧が続くミャンマーで、空爆から逃れて避難生活を続ける少数民族に食料や医療品などを届けようと、兵庫県西宮市出身の大学生らがクラウドファンディング(CF)で支援のための資金を募っている。学生らは「日本ではあまり報じられなくなったが、現地の状況はさらに悪化している」と懸念し、協力を呼び掛けている。6日まで。
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同国では総選挙後、初の議会が開会した2月1日に国軍がクーデターを起こし、アウン・サン・スー・チー国家顧問らを逮捕。軍主導で統治を始めた。市民らは街頭デモなどの「不服従運動」で抵抗するが、武力弾圧により多くの人が犠牲になったり拘束されたりする事態が続いている。
国軍は同時にミャンマー周縁部で生活する複数の少数民族の武装勢力とも交戦を始め、多くの住民が避難を強いられている。
こうした状況を受け、東京のNPO法人「インターバンド」でインターンシップ中の早稲田大2年の山田純さん(20)=西宮市出身=や、大阪大外国語学部ビルマ語専攻3年黒田健斗さん(21)ら、高校生から大学院生まで約10人が、今回のCFを企画した。
同NPOはアジアの紛争地域で、民主化支援のため国際的な選挙監視活動などを行っている。代表の小峯茂嗣さん(51)は「9月に入って国民に対し戦闘を促す呼び掛けがあるなど事実上の内戦状態だ」と話す。
インターンの学生らはこれまでにミャンマーの学生と話し合う機会があり、タイとの国境近くで避難民が急増し、市街地では戦闘に巻き込まれる恐れがあること、インフレで物価が高騰して食料や医療品が不足していることを知った。
なんとか支援できないかと、同法人のネットワークを活用。タイに住むカレン族など協力団体を通して物資を調達し、陸路でミャンマー側に運び届けるルートを構築した。CFで得た資金は、協力団体に送り、物資を調達するための資金に充ててもらう考えだ。
支援先は、山中で避難生活を送るカレン族の122世帯と、学校に通う避難民の子どもら843人で、2カ月分の米1万3千キロや、抗マラリア薬、鎮痛解熱薬などを購入する予定。
ビルマ語を専攻する黒田さんは、ミャンマーへの渡航経験があり、現地の大学の友人の身を案じながら「なぜそこまで国民は抗議活動を続けるのかと言われることもあるが、彼は『ただ平和な日常に戻ってほしい』と最後の電話で話していた」とする。また、山田さんは「日本では発生当初に比べて報道されることがほとんどなくなっているが、現状は厳しくなっている。関心をもってほしい」と呼び掛けている。(石川 翠)