師走は「忠臣蔵」ざんまい 神戸新開地の喜楽館 桂春蝶が4日連続でトリ

2021/11/14 05:30

忠臣蔵の刃傷場面を演じる(左から)桂春蝶、林家染雀=神戸新開地・喜楽館

 師走の風物詩「忠臣蔵」を題材にした落語や無声映画を集めた寄席が、赤穂義士討ち入り前日の12月13日から1週間、神戸新開地・喜楽館(神戸市兵庫区)である。歴史物の新作が得意な桂春蝶が初日から4日連続でトリを務め、史実と取材を基に創作した「忠僕元助」を口演。無声映画は神戸発祥とされる活動写真弁士(活弁)が登場し、せりふや解説を熱く語る。 関連ニュース 新寄席誕生は1通の手紙から 上方落語協会へ「候補地にして」 50歳で失明後、50超のネタ会得 10年で高座復帰した全盲の重鎮落語家「やっとスタートラインに立った」 女性落語家が急増「女の生き方、表現したい」 楽屋は男女別、演目に下ネタも

 忠僕元助は義士・片岡源五右衛門の下僕が主人公。討ち入りの前日、源五右衛門はそれを隠しつつ、元助に暇を出そうとするが、忠義に厚い元助は納得しない。討ち入り後、元助は義士の石像を20年かけて彫るなどし、余生を送った。
 「元助に危害が及ばないようにうそを言い続けるが、問いただされて困り果てる。シリアスだが笑いも多いネタ。忠義の心をなぜ日本人が大切にしてきたのか、考えるきっかけにしてほしい」と春蝶。
 17日のトリを務める林家染雀は、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」を下敷きにした「質屋芝居」を演じる。「芝居を見たような気持ちになれ、立ち回りや三味線とのやり取りも楽しめる」と染雀。トリはほかに、18日が桂雀三郎「淀五郎」、19日が桂千朝「蔵丁稚」。
 無声映画は、義士・堀部安兵衛の決闘物語などを予定。映画「カツベン!」で指導役を担った坂本頼光が13~16日と19日、ラジオ関西でパーソナリティーを務める大森くみこが17、18日に解説する。
 午後2時開演。一般前売り2300円(同当日2800円)ほか。
■喜楽館で初の講談フェス 赤穂義士伝特集など6日間
 また12月の6日間(各日2公演)、喜楽館で初めての講談中心のフェスティバルが催される。14日は赤穂義士伝を特集。コロナ退散を願う「名医伝」や、将棋の藤井聡太三冠を題材にした新作なども用意する。
 故・三代目旭堂南陵の弟子らを中心に2018年に発足した「なみはや講談協会」(会長=南鱗、7人)が主催、出演。兵庫ゆかりのメンバーには、南海(加古川市出身=副会長)、南湖(宝塚市出身)がいる。
 公演は6、7、14、22、30、31日の朝席(午前10時)と夜席(午後6時半)。日本講談協会の神田陽子、講談協会の宝井琴調のほか、上方落語協会の笑福亭仁智会長や笑福亭たまをゲストに迎える。初日は「名医伝」で幕開け。義士伝では南鱗が横川勘平を題材にした演目を披露する。愛知県出身の鱗林(2016年入門)が同郷の藤井三冠の成長物語を演じる日もある。
 南鱗は「師匠の芸を継承する姿を伝えたい」、南華(85年入門)は「母子の物語をよく演じるが、人情厚くきちんと生きる人々を表現したい」と抱負を語る。
 各公演前売り3千円(当日3500円)。オンラインチケットは1公演3千円。南湖のYouTubeチャンネルでは観賞法や解説などを無料で公開予定。
 喜楽館TEL078・335・7088
(金井恒幸)

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