映画館「神戸国際松竹」 来年3月17日で閉館
2021/12/02 05:30
昨年、ベネチア国際映画祭で監督賞に輝いた黒沢清監督(神戸市出身)の映画「スパイの妻」公開初日には多くのファンが駆けつけた=2020年10月16日、神戸市中央区御幸通8、神戸国際松竹
神戸・三宮の神戸国際会館にある映画館「神戸国際松竹」は来年3月17日で閉館し、65年の歴史に幕を閉じる。運営会社が1日に発表した。別会社が4スクリーン計520席の上映施設を引き継ぎ、「kino cinema(キノシネマ)神戸国際」として、来年4月1日の開業を目指す。(小林伸哉)
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神戸国際松竹は1956年10月、進駐軍のイーストキャンプ跡地に建った旧・神戸国際会館内で開業した。旧会館は95年1月の阪神・淡路大震災で全壊し、映画館は休館。新会館再建後の99年4月、「震災復興のシンボル」として再オープンした。
シネコンではない映画館として、近年は海外のオペラや歌舞伎を収録した映像の上映などで差別化を図ってきた。運営する松竹マルチプレックスシアターズ(東京)は、閉館の理由を「賃貸借契約の満了」と説明する。
神戸国際会館の担当者は「戦後の会館オープン時から共に歴史を刻んできた。震災で被災後も、復興に力を合わせてきた仲間だけに寂しい」とコメントした。
新たな運営会社は工務店事業などを展開する「木下グループ」の系列企業で、キノシネマは福岡、横浜などに続き神戸が4館目、関西は初進出となる。映画製作・配給会社「キノフィルムズ」とも連携する。
キノシネマの担当者は「独自の配給で欧州のアート系作品などを加え、新たな顧客の獲得を目指す一方、長らく支持されているお客さんの好みを大切にして、アニメや邦画などの幅広い上映を続けたい」と話す。