孤立するヤングケアラー「少しでも負担を和らげたい」 国や自治体が支援に本腰

2021/12/08 22:10

神戸市が設置しているヤングケアラーの支援相談窓口=神戸市中央区橘通3、市立総合福祉センター

 病気や障害のある親やきょうだいらを日々世話する若者「ヤングケアラー」を巡っては、厚生労働省や文部科学省が2022年度予算の概算要求に初めて支援策を盛り込み、国も対策に本腰を入れ始めた。兵庫でも神戸市をはじめ、自治体などが苦境に立つ子どもや若者をサポートする機運が高まっている。 関連ニュース ヤングケアラー支援へ診療報酬 患者の退院後、連携を促進 「ヤングケアラー」を孤立から救う 全国初の相談窓口、神戸市が開設 「偉いね」「いい子だね」と言われ続けて…自覚なく家族の世話に追われる日々 ヤングケアラー問題が深刻化

 政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」で、「ヤングケアラーの早期発見や支援策の推進、社会的認知度向上などに取り組む」と明記。厚労省の概算要求では、対象となる若者の調査や福祉機関職員らの研修を行う自治体への財政支援▽対象世帯に対する家事・育児の支援-などが計上された。
 兵庫県内でもヤングケアラーを支える動きが活発に。兵庫県は学識者や福祉関係者らで構成する検討委員会で支援の在り方を協議している。県社会福祉事業団は6月から、運営する高齢者施設9カ所で相談を受け付けている。
 また尼崎市は本年度から、子育て全般の窓口「いくしあ 総合電話相談」(TEL06・6430・9989)で、ヤングケアラーに関する相談にも対応する。宝塚市も広報誌10月号で特集を組んだ。尼崎市の担当者は「解決はなかなか難しいが、少しでも負担を和らげたい」とする。
 6月から専用の窓口と職員を配し、支援に注力する神戸市は、ヤングケアラー当事者が集う居場所もつくった。毎月第2土曜の午後2~4時、同市青少年会館(同市中央区東川崎町1)で開く交流の場「ふぅのひろば」の参加者を募っている。次回は今月11日で、対象は市内在住か在勤、在学の人。NPO法人こうべユースネットのサイト=QRコード=で申し込める。参加無料。(初鹿野俊)

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