南海トラフに備え、全国2例目の浮上式水門設置 南あわじ
2021/12/16 18:50
設置された浮上式水門。外枠部分が海面から出ている=16日午後、南あわじ市の福良湾
南海トラフ地震に備え、兵庫県が南あわじ市の福良湾で建設している「湾口防波堤」(全長1・1キロ)で16日、津波時に鋼板が海中から起き上がる「浮上式水門」の設置作業があった。同様の門の設置は岩手県大船渡市沖に続き全国2例目で、西日本では初という。
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水門の鋼板は幅25メートル、高さ12メートル、厚さ1・6メートル。平常時は漁船が通る航路として使えるよう、海底に横たわった状態で待機する。
全国瞬時警報システム(Jアラート)で津波警報か大津波警報を感知すると、1~2分で湾の外側から内側に向かって起き上がり、津波の力を受けると垂直になって遮る。停電を想定したバッテリーを備えており、遠隔や手動でも操作できる。
南海トラフ地震は、今後30年以内に70~80%程度の確率で発生が予測される。福良地区は県内で最も高い最大8・1メートルの津波が想定されている。
湾口防波堤は、2011年の東日本大震災を受けて17年度に着工した。23年度末の完成を見込む。総事業費は既存の堤防のかさ上げを含め約111億円。このうち浮上式水門の製作と設置に約27億円を使う。
県は、防波堤の完成後は最大クラスの地震の津波で福良地区の浸水面積を3割減らせるとしている。(上田勇紀)