両性愛告白の職員に一方的指導 尼崎市、市民団体の主張うのみ
2021/12/17 05:00
尼崎市役所=尼崎市東七松町1
兵庫県尼崎市保健所の幹部が性的少数者(LGBT)の30代男性職員に公務中のカミングアウトを控えるよう指導した問題で、市は16日、バイセクシュアル(両性愛者)の告白に「不快感を示す市民がいる」などと保健所に訴えたのは、市内の動物愛護団体だと明らかにした。またカミングアウトの状況について、幹部が団体の主張だけを根拠にして事実関係を確かめず、一方的に男性を指導したことも認めた。(竹本拓也、大田将之)
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市によると、団体は動物愛護の分野で市内最大のNPO法人。男性職員とは公務を通じて交流があった。
関係者によると、団体は2019年秋、保健所に文書を送り、「(男性の)性的発言についてはここに記載できません。何らかの仕返しがないとは言えないからです」などと記述。「機会が与えられれば口頭で説明することはできます」と添えた。
その後、保健所は団体の一人から「性的指向を打ち明けられ、困惑している人が団体にいる」と聞かされたが、男性がカミングアウトした状況については日時や会話の内容を調べなかった。男性は保健所幹部に「団体の一人からしつこく結婚観や性的指向を聞かれたため、答えた」と説明したが、幹部は「公務中は私的な発言は控えるべき」と一方的に指導したという。
この幹部は取材に「打ち明けられた市民が悩んだりしんどかったりしたと言っていたので、それ以上詳しく聞けなかった」と釈明。幹部と男性とのやりとりに同席した別の保健所幹部は「彼の傷つきに気付いてあげられず、守り切れなかった。もう少し丁寧に話し合うべきだった」と話した。
団体は「事実関係を確認するため今は詳細は答えられない」とコメントした。