「沖縄の島守」島田叡氏から学ぶ「命どぅ宝」 出身地・神戸で生誕120年記念でシンポ
2021/12/25 19:30
記念講演で島田叡・元沖縄県知事の功績を紹介する五百旗頭真・兵庫県立大理事長=25日午後、神戸市中央区下山手通4、兵庫県公館
太平洋戦争末期に沖縄県知事を務めた島田叡氏(神戸市出身)の生誕120年を記念したシンポジウムが25日、神戸市中央区の兵庫県公館であった。「未来につなぐ『命どぅ宝』」と題し、激戦の中でも住民の生命を最優先した島田氏の功績をしのんだ。
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島田氏は1901(明治34)年、神戸市須磨区に生まれた。沖縄戦では避難する住民や県職員と最後まで共に行動し、45年6月末に糸満市摩文仁付近で消息を絶った。戦後は「沖縄の島守」と称されている。
シンポは島田氏の誕生日に合わせて開催された。記念講演で、兵庫県立大の五百旗頭真理事長は、島田氏が沖縄県民の疎開や食料調達に尽力したエピソードを挙げ、「道理を大切にし、人間愛にあふれた人物」と評価した。「県民を守ろうとする精神は、阪神・淡路大震災の復興を指揮した貝原俊民・元兵庫県知事らに根付いている」と話した。
島田氏の母校・兵庫高校(旧制神戸二中)と沖縄県の那覇高校の生徒6人も登壇。島田氏が極限の状況でも県職員に「生き延びろ」との言葉を残したと紹介し、「戦争を繰り返してはならない。平和の歩みを続け、次世代につなぐ」と誓った。
このほか、島田氏にちなんだ朗読劇「島守の塔」の出演者がトークショーも行った。(藤井伸哉)