娘に謝り続ける気持ち今も 明石砂浜陥没事故20年、母・路子さん取材対応に区切り「前を向く」

2021/12/31 05:30

明石市・大蔵海岸の砂浜陥没事故で犠牲になった金月美帆(きんげつ・みほ)ちゃん。

 兵庫県明石市の大蔵海岸で2001年12月、人工砂浜が陥没して金月美帆ちゃん=死亡当時(5)=が生き埋めになり、約5カ月後に死亡した事故は30日、発生から丸20年を迎えた。節目を前に、美帆ちゃんの母路子さん(52)が神戸新聞社の取材に応じ、「守れなかった美帆に謝り続ける気持ちに変わりはない」と癒えない胸の痛みを明かした。一方、美帆ちゃんのきょうだいの成長や家族の日常に触れ、「これまでも、これからも前を向いて生きていく」と語った。(小西隆久) 関連ニュース 明石砂浜陥没事故20年 泉市長ら献花「職員一人一人の強い自覚と意識、徹底していく」 明石・砂浜陥没事故から20年 市、国など安全な海岸へ巡視続け 明石砂浜陥没事故の経過


 家族と関東で暮らす路子さん。今年5月、美帆ちゃんの命日に合わせた取材への対応後、メールで「(年2回の取材を受けるのは)とても難しく、葛藤もついてまわります」とし、「このあたりで終止符を打とう」と考えていると明かした。
 その後、神戸新聞の電話取材に「自分が話して少しでも社会に貢献できればとの思いで取材を受けてきた」と振り返り、「悲しいことやつらいことが重なった時は苦しかった」と吐露。区切りをつけようと考えたのは「肩の荷を下ろそうと思った。取材のたびに心のささくれを意識するより、100パーセントすべてを生活や家族に向けたい」と説明した。
 さらに「(報道で)思う全てを話すのは、常にためらいや葛藤があった」と語る一方で「記事にしてもらい、励まされたことも多かった」とも口にした。
 事故から20年となる30日は「家族だけでささやかに過ごす。いつも通り仏壇にお花とケーキとジュース、みんなで食べる夕食を少し取り分けてお供えする」と路子さん。最後に「報道機関や親身になってくださった方々への感謝は忘れません」と語った。

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