宝塚月組、新トップコンビが大劇場初お目見え 息ぴったりの演技で新年幕開け飾る
2022/01/01 16:22
映画の画面から美雪(海乃木美月=左)が現れ、戸惑いを隠せない健司(月城かなと)(撮影・小林良多)
宝塚歌劇団月組公演の「今夜、ロマンス劇場で」と「FULL SWING(フル・スイング)!」が1日、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市栄町)で開幕した。月城かなとと海乃美月が新トップコンビとして満を持して本拠地に初お目見え。息の合った演技で2022年の幕開けを飾った。
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「今夜-」は坂口健太郎、綾瀬はるか主演で2018年公開の同名映画が原作。1960年代初頭。助監督の健司(月城)は通い詰める映画館「ロマンス劇場」でありえない経験をする。繰り返し見ていた白黒映画に登場するお姫様、美雪(海乃)がスクリーンから飛び出してきたのだ。美雪に恋する健司は、戸惑いながらも現実世界を案内するが…。
映像をうまく織り込み、観客を「ありえない」物語にスムーズに引き込む。美雪へのいちずな思いを抱えながら、映画に夢をかける健司を月城が等身大で演じ、気が強くおてんばな美雪を、海乃がはつらつとさわやかな演技で応じる。2人の恋の行方をコメディータッチの演出も交えながら展開し、最後まで飽きさせない。何より新トップコンビ2人が楽しんで演じる姿に好感が持てる。
銀幕スター、龍之介役の鳳月杏、映画の中の物語で美雪を追い回す大蛇丸役の暁千星も好演。
後半のショーは「ビギン・ザ・ビギン」「ナイト・アンド・デイ」「オール・オブ・ミー」など、全編にジャズのナンバーが流れる大人な雰囲気。場面ごとに芝居仕立ての演出で、これまでのエネルギッシュでパワフルだった月組とはがらりと印象が変わる。
フランク・シナトラにふんした月城が組を従えて歌う「マイ・ウェイ」は力強く、新生月組トップとしての決意の表れのよう。最終盤、大階段をバックに、黒燕尾の男役らがラテン調の音楽に合わせ踊る場面で舞台は最高潮を迎える。
明るさと希望に満ちた、新年の幕開けにふさわしい公演だった。
31日まで。2月25日~3月27日、東京宝塚劇場で。(片岡達美)