81歳妻殺害事件、被告の男「同意あった」 承諾殺人主張し争う姿勢 神戸地裁初公判
2022/01/11 12:35
神戸地裁=神戸市中央区橘通2
昨年5月、神戸市西区の路上に止めた乗用車内で妻を刺して殺害したとして、殺人罪などに問われた同区の無職男(80)に対する裁判員裁判の初公判が11日、神戸地裁(野口卓志裁判長)であった。男は「(殺害には)妻の同意があった」として承諾殺人罪の適用を求めた一方、検察側は同罪を否定し、被告は妻の介護に疲れて殺害したと指摘した。
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起訴状によると、男は昨年5月18日深夜、神戸市西区糀台2の路上に止めた乗用車内で、妻(81)の首や腹などを包丁で複数回刺し、殺害したとされる。
検察側は冒頭陳述で、2014年ごろから病気で心身の調子を崩した妻の介護に被告が疲弊し、殺害を決意したと説明。妻は「死にたい」と口にしていたが、車内で抵抗した形跡があったとし、殺害には「真意に基づく同意はなかった」と主張した。
これに対し、弁護側は妻が連日体の痛みを訴え、男は「心中するしか妻を痛みから解放し、介護から逃れる方法はない」と考えたと述べた。妻は「あんたが死ぬなら私も死ぬ」と同意したとし、男が自殺しなかったのは「精根尽き果てたため」などとも述べた。