オミクロン株急増「間もなく過去最多の感染者に」 神戸大病院部長が鳴らす警鐘
2022/01/13 19:32
オミクロン株の急拡大を受け、備えの重要性を説く神戸大学病院の宮良高維・感染制御部長=神戸市中央区楠町7
今年に入り、兵庫県内でも新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が猛威を振るっている。新規感染者は6日、約3カ月ぶりに100人を超え、1週間後の13日には900人を突破。異例のスピードで急増しつつある。神戸大病院(神戸市中央区)の宮良高維・感染制御部長は「間もなく過去最多の感染者になる」と予測。現状で重症患者は少ないが、「(感染拡大で)保健所業務が逼迫し、医療対応が遅れる恐れがある」と警鐘を鳴らす。(井川朋宏)
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神戸市では既に新規感染者の8割以上がオミクロン株に置き換わったとされ、宮良氏は「感染力はこれまでを大きく上回っており、爆発的に増えやすい」とする。発症までの潜伏期間はデルタ株の5日程度に比べ、平均3日程度という。
県内では昨年8月、新規感染者が連日千人を超えたが、それを上回る状況になる可能性も指摘する。一方で「早くピークが来て、早く収まることが期待できる。この2、3カ月を何とか踏ん張ることができれば」と強調した。
県によると、オミクロン株の感染が確認された77人(11日までの判明分)は全員軽症以下。のどなど上気道を中心にウイルスが増える特徴があり、症状はのどの痛みが最多だった。肺炎になりにくい可能性があるという。
国民の約8割がワクチンの2回接種を終えたことを踏まえ、宮良氏は「接種の効果は低くなっており、感染は防げないが、重症化を抑えられるのではないか」とし、3度目の接種の効果も大きいとした。
目下の課題は、感染者の状況を確認する保健所の業務逼迫を挙げる。感染者への対応が遅れ、症状が悪化後に入院に至る恐れも見込まれ、「保健所一極集中の体制を変え、患者の管理を地域の医療機関と分担する仕組みを考えるべきだ」と訴える。また、自宅療養では容体急変への対応が遅れるリスクがあるとし、基礎疾患のない若者を除いて、宿泊療養施設への入所を推奨する。
一方、病床は空いていても、感染や濃厚接触により医療従事者が不足する事態を危惧。神戸大病院では院内会議の人数を制限し、職員の家族にも注意喚起。状況が悪化すれば、入院や外来の制限も視野に入れている。
宮良氏は「国民はコロナを2年間経験し、危険な場面を理解している。会食を含む密の回避、不織布マスクの着用、寒くなりすぎない程度の換気を」と改めて呼び掛けた。
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