記憶受け継ぎ、乗り越える「伝え続ければ伝わる」 阪神・淡路大震災27年
2022/01/17 22:15
犠牲者に祈りをささげるイベント「1・17KOBEに灯(あか)りをinながた」で、夕方の黙とうを前に、ろうそくに火をともす学生ボランティア=17日午後5時28分、神戸市長田区若松町6(撮影・吉田敦史)
阪神・淡路大震災は17日、発生から27年を迎えた。年月の経過で関連行事の数は減り、教訓発信の「第一世代」が高齢化に伴い一線を退いた。一方で、神戸・三宮の東遊園地での追悼行事「1・17のつどい」の参加者数は新型コロナウイルス禍の制約にもかかわらず、コロナ前の水準を回復した。震災経験のない若者グループや「2代目語り部」も精力的に活動する。記憶や教訓の継承は新たな段階に入っている。
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民間団体の調査によると、17日前後に県内で市民団体が開催する追悼行事数は、コロナ禍前の水準より3割減っている。
また、一昨年、昨年と、被災経験の継承に取り組んできた先駆者が相次いで鬼籍に入り、被災地支援をリードしてきた兵庫県立大大学院の室崎益輝教授(77)、高橋守雄・ひょうごボランタリープラザ所長(73)らも公職を退く。
一方で、1・17のつどいは東遊園地の再整備工事の影響で、灯籠の数を半数に縮小していたが、17日午前7時までの参加者は昨年の同時間の1・6倍の約4千人。午後9時の最終集計では、約4万5千人で、緊急事態宣言下で行われた昨年のほぼ倍だった。
神戸市の担当者は「コロナ対策が徹底され、昨年来られなかった人が多く訪れたのでは。子連れも多く、世代が広がっている印象もある」と話す。
若者のグループ「1・17希望の架け橋」は遺族らの肉声をまとめて映像を制作した。代表の藤原祐弥さん(19)は「自分たちの街で起きた震災に、若い世代も関心がある。伝え続ければ伝わる。これまでの活動から学び、継承のともしびを守る」と力強く語った。(藤井伸哉)
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