兵庫県、産業界のSDGs支援へ 中小企業に「推進宣言」促し 産地組合に補助制度新設

2022/02/02 05:35

漁網を再利用した素材で作ったかばん。SDGsを意識した地場産業の取り組みだ

 兵庫県は2022年度、SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む中小企業や地場産業に対する支援に乗り出す。認証制度の導入を視野に、企業の「推進宣言」を促すほか、産地組合への補助制度を新設。国際的な企業評価にもつながるSDGsへの対応を加速させ、県内産業の付加価値を高めるとともに、産地への誘客につなげたい考えだ。(大島光貴) 関連ニュース SDGs、新聞でもっと身近に 県内中高、NIE推進協議会が出前授業 企業取材、記事活用の方法学ぶ 大学生が「SDGs」につながるビジネスアイデア、自由な発想を披露 兵庫の4大学が参加 <はりま経済新聞>SDGs促進へ融資で支援 商工中金姫路支店


 帝国データバンクの21年調査によると、兵庫県内でSDGsに積極的な姿勢を示した企業は36・6%。全国平均(39・7%)を下回っており、47都道府県中で35位だった。
 SDGsに消極的な企業は、国際的なサプライチェーン(供給網)から外されるなどの不利益を被る恐れがある。こうした潮流を県内中小企業に認識してもらうため、県は宣言制度の創設に踏み切る。専門家の派遣やセミナー開催など啓発活動を通じ、22年度に約150社、3年間で約500社の推進宣言を目指す。23年度には認証制度を設け、積極的な企業には“お墨付き”を与える方針だ。
 さらに、地場産業のブランド価値を高めるため、SDGsに前向きな産地組合に対する補助制度を新設。人材育成や商品開発、設備導入を後押しする。また、PRやイベント開催、展示会出展など、実践への支援も行う。
 県内には37の産地組合があり、廃棄された漁網を再利用した素材でかばんや靴を作るなど、SDGsを意識した動きが出始めている。22年度は、1組合当たり数百万円を補助することで、こうした流れを加速させる。
 県は22年度当初予算案に、関連事業費として計4800万円を計上。25年大阪・関西万博を見据え、産業振興局は「取り組みをアピールし、産地の信頼度を高める。海外客も含めて地域を訪れ、商品を買ってもらう流れにつなげたい」としている。
 SDGsを巡っては、斎藤元彦知事が今年の年頭あいさつで「官民連携で取り組む」と述べるなど、県を挙げて進める姿勢を示していた。
■ふるさと納税もSDGs重視 兵庫県、返礼品に関連産品採用へ
 兵庫県は2022年度、県のふるさと納税「ふるさとひょうご寄付金」の返礼品として、SDGsにつながる農林水産物や地場産品などを積極的に採用する方針を決めた。
 返礼品には、残留農薬を国基準の10分の1以下にした農林水産物「ひょうご安心ブランド」や、県産木材の普及に努める事業者「ひょうご木製品マイスター」の県産木製品、野生鳥獣肉「ジビエ」を順次用意。SDGsに取り組む県内の産地や、「推進宣言」をした中小企業、障害福祉事業所の商品もそろえる。
 寄付金は但馬地域のイヌワシ保護やコウノトリの野生復帰、「子ども食堂」への支援などSDGsを進める27事業に活用する。
 寄付は県外在住の個人が対象。兵庫ゆかりの返礼品を選ぶには5万円以上の寄付が必要だったが、それを1万円以上に引き下げ、SDGsへの関心が高い層の寄付を促す。(大島光貴)
【SDGs】2015年の国連サミットで採択された。国際社会が抱える課題を解決するため、貧困撲滅▽教育の確保▽経済成長と働きがいの両立▽不平等の是正▽気候変動への対策-など17の目標と169の具体策を掲げ、30年までの達成を目指す。

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