20、30代主役の「花形歌舞伎」 京都・南座で3月2~13日 「番町皿屋敷」「芋掘長者」も上演

2022/02/11 11:35

三月花形歌舞伎に出演する5人。(左から)中村橋之助、中村米吉、坂東巳之助、中村壱太郎、中村隼人(C)松竹

 20、30代の若手が交代で主役を担う「三月花形歌舞伎」が3月2~13日、京都・南座(京都市東山区)で催される。姫路ゆかりの怪談「播州皿屋敷」とは異なり、両思い同士の悲劇として描かれる「番町皿屋敷」を上演。ヒロインの腰元・お菊には女形のホープ・中村壱太郎ら、旗本・青山播磨には立役のスター・中村隼人ら実力派が顔をそろえる。 関連ニュース 若手4人が主役、恋心や親子愛熱演 三月花形歌舞伎


 番町-は大正期に初演された岡本綺堂の傑作で新歌舞伎の代表作の一つ。播州-の趣向を取り入れつつも幽霊は登場させず、直情型の旗本とその愛を疑う腰元との恋の破局を劇化した。
 物語では、縁談のうわさを聞いたお菊が播磨の本心を確かめようと家宝の皿を割る。お菊が故意に割ったことを知った播磨は残りの皿も割り、お菊を手討ちにする…。
 作品について「身分が違う女性との純愛物語」と隼人。「お菊に恋心を疑われ、裏切られたと感じて情けなくなり、悲しくなった播磨の感情を届けたい。大切な人を殺さざるを得なかった気持ちを、現代の人にも理解してもらえるように演じたい」と抱負を語る。
 相手役の壱太郎は「純愛だからこそ生まれる2人の気持ちのすれ違いと、そこから生まれるドラマの面白さを見せられれば」と力を込める。
 午前、午後の部で役を交代し、午後の部のお菊役は中村米吉、播磨役は中村橋之助が演じる。
 もう一つの演目「芋掘長者(いもほりちょうじゃ)」は、芋掘藤五郎(坂東巳之助)が恋をし、舞(まい)の名手と偽って婿選びの舞の会に乗り込む舞踊劇。舞の上手な友だちの力を借りながら、悪戦苦闘する姿がほのぼのとした笑いを誘う。
 巳之助の父で十代目坂東三津五郎が2005年、歌舞伎座で45年ぶりに復活上演したゆかりの深い演目。「これも男女の恋の話だが、何も考えず、面白くおかしく笑ってもらえる。コロナ禍の今、明るい気持ちになってほしい」と願いを込める。
 各部4千円~1万2千円。チケットホン松竹TEL0570・000・489
(金井恒幸)

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ