中高生向け「14歳からの防災」一冊に 分かりやすさこだわり、Q&Aを図解

2022/03/10 17:00

刊行した「14歳からの自然災害と防災」について語る諏訪清二さん=神戸市中央区東川崎町1(撮影・秋山亮太)

 「エレベーターで地震に遭ったら?」「避難の時、何を持って行けばいい?」-。防災について中高生の素朴な疑問に答える書籍「図解でわかる 14歳からの自然災害と防災」(太田出版)が完成した。阪神・淡路大震災をきっかけに、兵庫県立舞子高校(神戸市垂水区)に開設された環境防災科の初代科長、諏訪清二さん(62)が監修し、「防災に唯一の正解はない。本を手に自分で答えを探してほしい」と呼び掛ける。(中島摩子) 関連ニュース 「防災教育は日常の延長上にある」 身近な題材入り口に 発案力鍛え災害時リーダー育成 3時間閉じ込めを想定したポーチの中身は 防災知識の大切さ伝える「女子防災部」 「東日本」避難所などで29人被害 災害時の性暴力 神戸のNPOが警鐘

 東日本大震災後に発足し、被災地や学校を支援してきた一般社団法人「社会応援ネットワーク」(東京)が企画・執筆した。諏訪さんと協力して舞子高生や神戸市内の中学生らにアンケートし、回答数の多かった32個の疑問に答える形式にした。
 中高生向けとした理由について諏訪さんは、「人を助けたり、ボランティアをしたり、中高生は災害時に支援の主力になれる」と説明する。
 阪神・淡路大震災では、学校の避難所などで中学生ボランティアが活躍した。東日本大震災では、岩手県釜石市の釜石東中学校の生徒が、小学生らの手を引いて背後に迫る津波から逃げ、「釜石の出来事」と語り継がれる。
 さらに、現在の中高生の世代は「南海トラフ巨大地震など次の災害が起きたとき、社会の中心を担っているはず」と諏訪さん。
 本では「マグニチュードと震度ってどう違うの?」という疑問をもとに災害の仕組みを解説する。「自宅避難中に断水。トイレはどうすればいい?」との問いには、避難生活への備えを紹介している。
 イラストや写真を多用し、一つの疑問ごとに回答を見開きで完結させるなど、分かりやすさにこだわった。
 小学5年で東日本大震災を経験して語り部として活動する男性や、阪神・淡路で父親を亡くした女性も体験、思いを伝える。
 防災教育学会の会長も務める諏訪さんは「学校の授業で活用したり、リビングに置いて家族で話し合ったりしてほしい。災害が起きたとき、被害を軽減し、誰かを助けることにつながる」と話している。
 B5判、96ページ。1650円。太田出版TEL03・3359・6262

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