校庭に住民も出入り自由 神戸唯一「学校公園」変わる姿 子どもの安全考慮、境界にフェンス設置
2022/03/24 11:30
校内グラウンドと校外の公園との境に設置されたフェンス=神戸市灘区備後町1、成徳小学校
神戸市内で唯一、校内グラウンドと校外の公園との境に仕切りがなく、保護者や住民が自由に校内に立ち入ることができた成徳小学校(神戸市灘区備後町1)で、敷地の境にフェンスが設置され、学校の内外が区切られた。これまでグラウンドは「学校公園」の愛称で住民に開放され、早朝や放課後は近隣住民が自由に出入りしていた。文字通り、地域に開かれた学校を象徴した光景が姿を消した。
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■走り回る児童の横で…
平日の昼休み、グラウンドを走り回る児童のすぐ横で、住民が成徳公園の清掃や花壇の水やりを行う。本来はグラウンドも住民がジョギングなどで自由に利用できるが、登校から下校までは立ち入らないというマナーが地域で浸透した。
しかし、校内にいる児童の安全を守るため、校内外の敷地を区切るフェンスが設けられた。今後は3カ所の扉を教職員が開閉し、授業時間中は閉めるが、放課後や休日は開け放ち、これまでと同様に地域に開放する。
■「人の輪がフェンスの代わり」
成徳小は1995年8月に新校舎が完成した。教員らから「フェンスがなければ公園も含めてグラウンドが広くなり、子どもがたくさん遊べる」と意見があり、当初は予定されたフェンスを設置しなかった。
同校によると、阪神・淡路大震災直後は、市内で高倉台小(同市須磨区)、若宮小(同)も敷地を区切るフェンスがない小学校だったが、現在は成徳小だけが残っていたという。
これまでも、2001年に大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件が起きた際などに防犯上の心配があったが、「人の輪がフェンスの代わりになる」として、住民の見守りで安全を支えてきた。しかし、衝動的に校外に飛び出してしまう児童などもいて、保護者と教職員の不安はぬぐえなかった。
■「心のフェンスを立てない」
今月9日、児童や地域住民、行政関係者ら約50人が成徳小に集まって「学校安全会議」が開かれ、フェンスを置いた後、児童の安全と、地域と学校のつきあい方について意見を交わした。
「地域と学校のつながりが薄れる」という不安も漏れたが、「子どもと住民が顔見知りになることで見守りの意識を高めていく」との思いを共有。「心のフェンスを立てない」と話した児童もいた。
同校学校運営協議会の中田進会長(71)は「学校公園(学校グラウンド)は私たちも自分たちの公園という意識が強く、関わり方は変わらない」と強調。5年の女子児童(11)は「怖いと思ったことはなかったけど、安全のためにフェンスは必要と思う。見守ってもらえるように、地域の人と交流するようにしたい」と話した。(竜門和諒)