緊迫の中、迫られる状況判断 生徒主体の避難訓練「自分たちで対応を」 兵庫・舞子高校
2022/03/26 21:25
大掃除中に放送が流れ、その場で頭を守る生徒ら=22日、兵庫県立舞子高校
兵庫県立舞子高校では、防災訓練を環境防災科の生徒たちが仕切る。多くの教員にも詳しい想定は伝えず、緊迫した空気が漂う。22日、卒業した3年生を除く1、2年生約520人が参加した訓練を取材した。
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2時間目の大掃除中。校内に緊急地震速報が流れた。生徒はその場で頭を抱えしゃがみこむ。「淡路島北部を震源とし、神戸市垂水区は震度6強でした」「余震が続いています。身の安全を確保してください」-。状況は刻々と変わった。
火災報知機が鳴り響く中、事前に決めたけが人役の生徒や教員を、協力して保健室に運ぶ。ほかの人たちは体育館へ。校舎内のどこを通れば安全か、教員も汗だくになりながら状況を判断、生徒を誘導した。
中心となった環境防災科2年の大崎きらりさん(17)は「災害では、先生がけがをして指示を出せない可能性もある。自分たちでも対応できるようにならないと」と狙いを話す。
大崎さんが同科に入るきっかけの一つは、母から聞いた阪神・淡路大震災だ。母は中学3年のとき、神戸市垂水区で被災。火災に見舞われた長田区の状況も目の当たりにした。「『1・17』が近づくたびに話を聞いた。南海トラフ地震が来たとき、家族を守りたい」と決意を語る。
この日の訓練前、同科2年生40人は、1~2年生の各教室で防災学習を実施。家族の緊急連絡先などを記す「マイ避難カード」を配り、自分や家族を守る備えの大切さを訴えた。
同校は訓練のたびに反省点をまとめ、学校の防災マニュアルに反映させる。中西孝弘教頭は「災害への備えの必要性が高まっている。舞子高校の防災教育を通じて、多くの人に防災・減災文化を伝えていきたい」と話している。(上田勇紀)