将棋・女流王位戦5番勝負 死角なき頂上決戦、濃密に

2022/04/23 11:00

里見香奈女流王位

 将棋の第33期女流王位戦(神戸新聞社主催)5番勝負が26日、姫路市で開幕する。里見香奈女流王位(30)=女流王座・女流王将・倉敷藤花=に西山朋佳女流二冠(26)=白玲・女王=が挑戦する好カード。時期を同じくして開催中のマイナビ女子オープン5番勝負では西山に里見が挑戦し、両者の対決は春の10番勝負となっている。マイナビ女子オープンは現在まで両者1勝ずつとなっているが、女流王位戦はどうなるか。戦いに臨む対局者に意気込みを聞くとともに、中座真七段(52)と加藤桃子清麗(27)に見どころを語ってもらった。 関連ニュース 第一人者の貫禄 福間、華麗なさばきでシリーズ3連勝 女流王位戦第3局 女流王位戦で福間が6連覇 通算10期目、女流五冠 加藤女流四段破る 将棋女流王位戦 福岡で第3局始まる 先手福間は中飛車、加藤は攻め駒集中

■里見香奈女流王位 新発見重ねながら成長を
 強烈な攻めのイメージがある西山さんですが、ゆったりとした展開も指される印象で、一概に攻め一本という感じはしていません。指すごとに新しい発見があり、毎局、新鮮な気持ちで対局できる相手です。
 西山さんは、最近いろいろな将棋を指されている印象です。どのような戦型になるかは、相手との兼ね合いで読めないですね。(お互い振り飛車党なので)相振り飛車の可能性は高いですが、あまり定跡化されていない戦型ではあるので、どうなるか。私が居飛車模様にすることもあるので、力戦になることがあるかもしれません。
 女流王位戦は女流棋戦の中では持ち時間が最長(4時間)で、時間の使い方も大事にしていかなくてはいけない要素です。要所要所でじっくりと考え、力を出し切って戦いたいです。
 各地に行くことができるのは女流王位戦ならではで、いまから楽しみにしています。いろんな地域の方々に将棋を知っていただき、女流棋界にスポットが当たる瞬間となればありがたいです。
 タイトル戦を戦うことによって、成長しながら強くなることが最大の目標です。
 【さとみ・かな】 1992年生まれ、島根県出雲市出身。森雞二・九段門下。2004年、女流2級。11年、1級で奨励会に編入。18年、三段で奨励会退会。20年、女流六段。タイトル通算獲得数は女流王位7期を含む47期。

■西山朋佳女流二冠 特有の駆け引きも楽しみ
 実績もある里見さんは、皆が認める最強の女流棋士で、タイトルを取るためには避けて通れない相手です。隙がなく、研究が行き届いており、終盤も鋭く手ごわい方という印象。盤を挟む度に、自分の足りないところを感じます。
 マイナビ女子オープンと並行し10番勝負となりますが、楽しむ気持ちを持って、一局一局悔いなく挑みたいです。同じ方と何度も指すと、特有の駆け引きが生じます。意識して一局一局を省みながら戦っていきたいです。
 作戦の段階では、戦型にはあまりこだわらないというか、どちらかというと、組み終わった後に重きを置いています。どんな展開になったとしても、その裏には膨大な変化があると感じています。自分は何をやりたいのかを一局一局、慎重に考えていきたいです。
 里見さんに比べて、私は隙だらけで、欠けている部分が多い。4時間で里見さんと指すのは初めてです。ゆったりと指せるので、全体的に濃密さは上がるのかなと感じています。
 女流王位戦は初挑戦です。いろいろな対局場にうかがえることが楽しみ。新鮮な気持ちで対局に臨みます。
 【にしやま・ともか】 1995年生まれ、大阪府大阪狭山市出身。伊藤博文七段門下。2010年、6級で奨励会入会。18年、第11期マイナビ女子オープンで初タイトル。21年、三段で奨励会退会。女流三段。タイトル通算獲得数は9期。

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