映像通し多様な文化知る 神戸でイスラーム映画祭 日本初公開作など13作品
2022/04/29 12:00
「ある歌い女の思い出」の一場面
映像を通してイスラム文化圏で暮らす人々の考え方に触れる「イスラーム映画祭7」が30日~5月6日、元町映画館(神戸市中央区元町通4)で開かれる。日本初公開作6本を含む計13本を上映する。
関連ニュース
和平合意10年、疎外されたままの先住民 フィリピン・ミンダナ、収奪された土地
神戸ビーフやノリ、ハモ…兵庫の農水産物25品、海外へ売り込め 県が出展先に米国を追加
県議補選明石市選挙区 立民新人が立候補を表明
「ある歌い女(うたいめ)の思い出」(1994年、チュニジア、フランス)は、56年にチュニジアがフランスから独立する前夜を王宮で過ごした母娘の物語。いつの時代も変わらない女性の困難を描いた作品で、イスラム圏という枠を超えたフェミニズム映画の名作としても評価されてきた。日本では2001年に一般公開され、今回は30日に1回限り上映する。
この作品でデビューしたムフィーダ・トゥラートリ監督は昨年2月、新型コロナウイルスに感染し、73歳で亡くなった。映画祭では、監督をしのび、彼女の後継とも言える女性監督の作品3作を初公開する。チュニジアのヒンド・ブージャマア監督「ヌーラは光を追う」、ヤスミーン・シューイフ監督(アルジェリア)「時の終わりまで」、マルヤム・ビンムバーラク監督(モロッコ)「ソフィアの願い」。
1990年代のボスニア紛争で心に傷を負った男性たちのその後を描く「泣けない男たち」も初公開。セラピーを受けながら、過去の記憶に苦しむ様子からは男性性の問題点が浮かび上がる。
映画祭を主宰する藤本高之さんは「国や地域の文化・歴史を知ると、そこに暮らす人の顔が見え、政治と人を分けて考えることができるようになる」といい、映像を通して多様な文化に触れることの意義を強調する。
ゲストを招いてのトークセッションもある。
一般1500円、3回券3900円など。元町映画館TEL078・366・2636
(片岡達美)